NC旋盤とは?加工方法やオペレーターの仕事など、基礎知識を網羅的に解説!

本記事では、NC旋盤の基本的な概念から、その操作方法、プログラム作成、そしてオペレーターの仕事についてまで、幅広く解説しています。NC旋盤は数値制御装置を組み込んだ旋盤で、その操作には専門的な知識と技術が必要となります。その一方で、高度な精密加工を可能にし、量産加工に適しているなどの特性から、製造業界で広く利用されています。本記事を通じて、NC旋盤の基本的な知識を身につけ、その活用方法を理解することができます。
また、NC旋盤の操作が難しいと感じる方や、これからNC旋盤の操作を学びたいと考えている方にとっても、役に立つかと思います。

記事のポイント
・NC旋盤の基本構造と主要な機能
・NC旋盤での加工方法とプログラム作成の重要性
・NC旋盤のメンテナンスと安全な操作方法
・NC旋盤オペレーターの仕事の魅力と必要な資格

管理人TAK
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NC旋盤とは、金属の材料を回転させて刃物で削る機械です。NC旋盤は、手で動かす汎用旋盤と違い、プログラムで自動的に加工できるため、高精度で複雑な形状の加工にも対応できる、とても頼りになる機械です。

一方で、普通の人は日常の中でNC旋盤に触れることはないかと思いますので、NC旋盤がどういったものかあまりイメージがわかないかと思います。

そこで本記事では、町工場でNC旋盤8年以上NC旋盤の仕事に従事している私から、知らない方にもわかりやすく、NC旋盤について解説しました!

NC旋盤の基本知識

NC旋盤とは:基本的な解説

NC旋盤とは、数値制御装置(NC装置)を組み込んだ旋盤のことで、その名前は「Numerical Control(数値制御)」から来ています。この装置が付いている旋盤を「NC旋盤」、装置が付いていない旋盤を「汎用旋盤」と呼びます。NC旋盤は以下の3つの要素で構成されています。

  1. NC装置:プログラムを認識し、機械に指示を送ります。
  2. 操作盤:作業者がNC装置への命令を行います。
  3. サーボモータ:NC装置からの指示を受けて機械を動かします。

これらの要素が組み合わさることで、NC旋盤は以下の4つの主要な機能を持ちます。

  1. 主軸を回転させる。
  2. X軸方向(直径方向)にバイトを動かす。
  3. Z軸方向(軸方向)にバイトを動かす。
  4. 刃物台の工具を交換する。

これらの動きを組み合わせることで、様々な形状の部品を削り出すことが可能となります。また、NC旋盤は「CNC旋盤」とも呼ばれ、これはコンピュータによる制御が可能であることを示しています。

NC旋盤は一般的な生活で目にすることは少ないかもしれませんが、世界中の多くの工場で稼働し続けており、私たちの身の回りのあらゆる製品を生み出す重要な役割を担っています。

オークマ LB3000EX2 
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画像はオークマのカタログより引用した、LB3000EXⅡ。私が普段使っているNC旋盤も同じものです。

NC旋盤の加工動画

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これがNC旋盤の加工動画です!

このように、金属の材料を回転させ、刃物をあてて削る機械です。

ちょうどろくろで粘土を成形する作業に似ています。

真横に向いたろくろで金属の材料を回転させ、刃物でけずりとっているイメージです。

外径・内径の単純な削り加工だけでなく、溝入れやねじ切りといった加工も可能です。

機械にもよりますがその加工精度は0.001mm単位で、とても精密な加工が可能です。

NC旋盤の構造

アをあけたらどうなっているのでしょうか?

こちらはNC旋盤内部の画像。

どのNC旋盤でも中の構成は基本的に同じで、主軸・刃物台(タレット)・心押台の3つで構成されています。

主軸
油圧チャック 北川鉄工所より引用

主軸はNC旋盤の要となる、材料を回転させる部分です。主軸には基本的に画像のようなチャックが装備されており、これで材料を掴みます。NC旋盤ではパワーチャック(油圧チャック)といい、油圧によって強力に爪を動かして材料を掴みます。

チャックでワークをつかんだ様子
鉄工所キノコの里様より引用

こちらがチャックでワークをつかんだ様子です。画像のように3本の爪を油圧の力で締め込み、材料を固定します。この状態で主軸を回転させ、材料を削っていきます。

タレット
タレット (株式会社YMS様より引用)

タレットとは、刃物を取り付ける刃物台のことです。タレットには工具を複数本取り付けることができます。画像を見るとわかるように、タレットには番号が振ってあります。 これが工具番号で、画像のタレットのように1〜12までの12箇所に工具を取り付けられるものが一般的です。これら12箇所にセットした工具のうち、用途に応じた番号のものを呼び出して使います。汎用旋盤は基本的に4本しか刃物をつけられませんので、NC旋盤のタレットはとても優れた形状なんです。ちなみに画像では4番の工具が呼び出された状態になっています。

心押台
心押台を使った加工 オークマより引用

心押台は細長い材料を支えるための装備です。通常画像のような円すい形の道具、心押しセンタを取り付けて使います。動画のように、材料を心押しセンタで支えることで材料がたわんでしまうのを防ぐ役割があります。

支える仕組みとしては、材料に心押しセンタの先端と同じ形の穴をあけておき(心もみといいます)、そこに心押しセンタを押し当てているかたちです。

もし動画のような加工で心押台を使わなかったら、”びびり”と呼ばれる振動が発生し、表面が大変汚い状態になってしまいますし、加工精度も大きく落ちてしまいます。

びびりについてはこちらの記事で詳しく解説
心押台 オークマより引用
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旋盤加工には、汎用機では大変な熟練が必要な加工が多くあります。

その例の一つが公差の入ったアール加工。つまり丸みを帯びた形状です。

汎用機では専用の刃物を用意するか、超熟練の機械操作技術が必要な加工です。

専用の刃物を用意しても多くの場合表面が汚くなってしまいます。

ですが、NC旋盤でプログラムを組めば大抵のアールはいとも簡単に加工できてしまいます

このように、人の手では難易度が高い加工も簡単に正確に行ってくれるメリットがあります。

NC旋盤とプログラムの概要

NC旋盤の制御にはNCプログラムが必要です。NC旋盤はコンピュータ制御された旋盤であり、一般的な旋盤のようにそのまま使用することはできません。NC旋盤を適切に操作するためには、NC装置に工具の選択や加工内容などのさまざまな定義を行います。これらの指令から旋盤の制御をさせることで、初めて稼働させることができます。

具体的には、NC旋盤を動かすためにはNC装置のシステム上にNCプログラムをという形で指示を出します。このプログラムは、旋盤の動きや工具の選択、加工内容などを詳細に定義し、それに基づいて旋盤が動作します。このように、NC旋盤は高度な精密加工を可能にする一方で、その操作には専門的な知識と技術、経験が求められます。

NC旋盤は、NCプログラムさえ作成してしまえば自動運転が行えるため、量産加工に適しています。また人の手では難しい曲面や複雑な形状の加工も得意です。一方で、NCプログラムの作成には一定の知識が必要で、汎用旋盤と比較して加工前の段取りにも時間を要します。

また、NC旋盤と似た概念であるマシニングセンタというものも存在します。マシニングセンタは、NCプログラムで操作するフライス盤にATC(自動工具交換装置)を加えたものを指します。これにより、さらに高度な加工が可能となります。

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プログラムを使った加工では、当然ですが一度行った動きを何度も再現することができます

人の手で動かしていると多少の誤差が生まれるところが、NC機では完璧に同じ動作を繰り返すことができるわけです。

そのため、複数個の加工ではNC機の方が圧倒的に速く正確に加工を行うことができます

また、プログラムを使った加工では、段取りを完璧に組めていれば始動ボタンを押すだけで勝手に加工が進みます

そのため汎用機のように常に機械に人がついている必要がなく、加工を行っている間別の仕事ができます

NC旋盤での加工方法

NC旋盤での加工は、まず加工プログラムを作成することから始まります。このプログラムによって、作業員が付いていなくても自動で加工が可能になります。これは、人材難と言われる状況においても効率よく工場を動かすことができるとして注目されています。

具体的な加工方法としては、加工したい円柱状の材料を回転させ、そこにバイト(刃物)を当てることによって材料を加工します。直径1mmにも満たないような小さな精密部品から、超大型の材料まで切削加工が可能です。下記記事で紹介していますが、戦艦大和の主砲も旋盤で削り出されています。

バイトの種類によってもさまざまな加工が可能です。基本的な『片刃バイト』であれば材料の外周や端面の加工、先が尖っている『剣バイト』であれば曲面削りやテーパ削りといった複雑な加工、『突切りバイト』であれば溝入れが可能です。その他にも『中ぐりバイト』『ねじ切りバイト』など、バイトの種類によって、さまざまな加工ができます。刃先交換式が主ですが、現場ではまだ手研ぎのバイトが使われることもあり、バイトだけとっても奥が深いです。

旋盤国の種類 出典:さくさく様 https://sakusakuec.com/shop/pg/1turning/

かつては、工具交換(ツールチェンジ)は人の手で行う必要がありましたが、現在のNC旋盤ではタレット型、くし刃型、フラット型などと言われる、自動で付け替えができるものが登場しています。

また、NC旋盤の高精度加工には切粉の確実な処理が欠かせません。切粉の処理には「チップコンベヤー」と呼ばれる切粉搬出装置や、切粉処理装置が使われています。これにより、切粉が機械内部に溜まることを防ぎ、機械の寿命を延ばすとともに、加工精度を維持します。

ターニングセンタ:ミーリング機能のついたNC旋盤

ターニングセンタによるミーリング加工 森精機様より引用
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NC旋盤には、ミーリング機能という本来フライス盤・マシニングセンタで行う加工が行える機能がついたものがあります。

材料を回転させて削る旋削ではなく、工具を回転させて削る加工方法です。

ミーリングができる旋盤はもはや旋盤の枠を越えていますので、ターニングセンタとも呼ばれます。

こちらはNC旋盤の最終形態ともいえるターニングセンタの加工動画です。ぜひ御覧ください!

NC旋盤で使われる工具

超硬の刃物での切削 タンガロイ様より引用
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木なら刃物で削れるのも納得ですが、金属なんて硬いもの、どんな刃物で削っているのか不思議ですよね。

金属は、材料の金属よりも硬い金属を刃物にして削ります

多くの場合は超硬(ちょうこう)というたいへん硬い金属を使って削ります。

他にもサーメットやハイスと呼ばれる金属がよく刃物に使われます。

以下の記事をご覧いただくと、旋盤には様々な刃物があることをおわかりいただけるかと思います。

中古NC旋盤の選び方

中古のNC旋盤を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮する必要があります。まず、自分がどのような加工を行いたいのか、その目的に合った機械を選ぶことが大切です。NC旋盤には様々な種類があり、それぞれ特性や機能が異なります。例えば、筆者の使っているLB-3000EXⅡは汎用的な加工が可能ですが、チャックの大きさは10インチまでで、心間距離は500mmですので、大きいものや長いものは加工できません。各種類のNC旋盤は特定の加工に特化しているといえます。

また、中古のNC旋盤を選ぶ際には、その状態を確認することも重要です。使用状況やメンテナンスの状況、機械の年数などを確認し、自分の予算や目的に合ったものを選ぶことが大切です。例えば、ある機械が10年以上使用されている場合、その耐久性や性能については十分に考慮する必要があります。

さらに、中古のNC旋盤を選ぶ際には、販売業者の信頼性も重要な要素となります。信頼できる業者から購入することで、後々のメンテナンスやトラブル時の対応も安心できます。業者選びには、過去の取引実績や口コミ、評判などを参考にすると良いでしょう。

以上のように、中古のNC旋盤を選ぶ際には、自分の目的や予算、そして販売業者の信頼性など、様々な要素を総合的に考慮することが求められます。これらを踏まえた上で、最適な中古のNC旋盤を選ぶことが、効率的で質の高い加工を実現するための第一歩となります。

NC旋盤の価格について

NC旋盤の価格は、その規模、加工精度、付属する周辺機器の種類などにより大きく変動します。以下に、一般的な価格の目安を示します。

  • 小型のNC旋盤:約600万円から
  • 標準的なNC旋盤:約1,000万円から3,500万円
  • 高機能のターニングセンタ:約1,500万円から5,000万円

これらの価格はあくまで目安であり、具体的な価格は購入する機械の型式や年式、メーカー、状態などによります。また、中古のNC旋盤を購入する場合も、その状態や年式によって価格は大きく変動します。

具体的な例として、2004年製のヤマザキマザック製のNC旋盤は、480万円から580万円の範囲で取引されています。これは、同じメーカー、同じ年式でも、機械の状態や使用状況により価格が変動することを示しています。

これらの価格情報を参考に、予算や必要な機能に合わせて適切なNC旋盤を選ぶことが重要です。また、購入後のメンテナンス費用や部品交換費用も考慮に入れると、より適切な選択が可能となります。

初心者が知るべきNC旋盤の情報

初心者が知るべきNC旋盤の情報を以下4点解説します。

  1. NC旋盤の基本構造:NC旋盤は主にNC装置、操作盤、サーボモータの3つの要素から成り立っています。これらの要素が連携して動作し、精密な加工を可能にします。特に、NC装置は加工の指示を出す役割を果たし、操作盤はその指示に基づいて旋盤を制御します。サーボモータは電気信号を機械的な動きに変換し、具体的な加工動作を行います。
    難しく書いてしまいましたが、NCプログラムによって自動で動く旋盤ということが理解できていればOKです。
  2. NC旋盤の操作方法:NC旋盤の操作は、専用のプログラムを作成し、それをNC装置に入力することで行います。プログラムは、加工する部品の形状や大きさ、加工の順序などを詳細に指定します。このプログラムにより、作業員の技量に左右されず、精度が安定し大量生産が可能になります。
  3. NC旋盤のメンテナンス:NC旋盤は高度な機械装置であるため、定期的なメンテナンスが必要です。特に、刃物類の取り替え作業や潤滑油や切削油といった油類の管理や補充を行うことが大切です。また、機械に異変が見られた場合は、上司や機械に詳しい人に相談をしてからメンテナンスを行いましょう。これにより、NC旋盤が壊れないようにすることが可能です。
  4. 安全な操作:NC旋盤の操作は、適切な知識と技術がなければ危険を伴います。操作前には必ず安全装置の確認を行い、適切な保護具を着用することが必要です。また、操作中は集中力を切らさず、着実に作業を行うことが求められます。

これらの基本的な情報を理解し、実際の操作に移る前に十分な練習を行うことが、初心者がNC旋盤を安全に操作するための鍵となります。

NC旋盤プログラムの例を見てみよう

こちらはファナックのNC旋盤プログラムの例です。

O3001
G28U0W0

N1(GAIKEI-ARA)
G99G40
G00T0101
G50S2000
G96S180M03
M08
X75.0Z10.0
G41X78.0Z0.1
G01X0F0.25
G40G00Z2.0
X78.0
G71U2.0R0.5
G71P100Q101U0.4W0.1
N100G42G00X54
G01X60Z-1.0
Z-12.0
X61.0
G03X65.0Z-14.0R2.0
G01Z-16.0
N101X77.0Z-31
G40G00X200.0Z200.0M09
M05
M01 

・・・・

NC旋盤プログラムは、加工物の形状や大きさ、加工の順序などを詳細に指定するものです。具体的なプログラムの例を挙げることは難しいですが、一般的には以下のような形式で記述されます。

  1. プログラム番号の指定:プログラムの始まりを示す部分です。例えば、「O0001」などと記述します。
  2. 初期設定:ツールの設定や、加工の基準となる座標系の設定などを行います。
  3. 加工指令:具体的な加工内容を記述します。例えば、「G01 X50.0 Y30.0 F100」などと記述すると、ツールをX軸方向に50.0mm、Y軸方向に30.0mm移動させるという指示になります。
  4. プログラム終了:プログラムの終わりを示す部分です。「M30」などと記述します。

これらの指示を組み合わせることで、様々な形状の加工が可能になります。ただし、プログラムの作成は専門的な知識が必要となるため、初心者の方は専門の教育機関での学習や、経験豊富なオペレーターからの指導を受けることをおすすめします。

独学で学習したい方向けに、ファナックのプログラムについて解説した記事も書いています。こちらの記事で詳しく解説していますので、是非参考にしてください。

NC旋盤プログラムの練習方法

NC旋盤プログラムの練習方法としては、まず基本的なプログラムの構造を理解することが重要です。具体的には、プログラムの始まりと終わりを示す部分、初期設定、加工指令などの基本的な構成要素を理解することが必要です。

次に、実際に簡単なプログラムを作成し、それをNC旋盤に入力して動作を確認することです。この際、プログラムの作成は専門的な知識が必要となるため、初心者の方は職業訓練校のような専門の教育機関での学習や、経験豊富なオペレーターからの指導を受けることをおすすめします。筆者も職業訓練校であるポリテクセンターの機械加工科で学んだ後、就職先で教わりながら実務を覚えました。

また、教科書や参考書を活用することも有効ですが、NC旋盤のプログラムは会社によって対話しか使われていない場合もありますし、制御装置も現場によって様々です。現場に入る前に勉強したい方は、当サイトで無料公開しているプログラミング基礎講座を一読しておくのがおすすめです。

何より、実際の加工現場での経験を積むことも重要です。実際の機械を操作することで、理論だけでは得られない知識や経験を得ることができます。

NC旋盤の活用とキャリア

NC旋盤関連の求人情報について

NC旋盤の操作スキルは、製造業界で高く評価され、その結果、NC旋盤のオペレーターとしての求人は豊富に存在します。これらの求人は、製造業や機械加工業などの分野で見つけることができます。また、CAD/CAMオペレーターとしての職もあります。これらの職種は、NC旋盤の操作だけでなく、プログラムの設計や修正も求められることがあります。

近年、女性技術者の求人も増えています。これは、NC旋盤の操作が物理的な力をそれほど必要としないため、性別に関係なく誰でも活躍できる職種であるからです。また、経験の浅い人でもプログラムを設定できれば操作が可能であり、複数の作業を並行して行いやすいという特徴もあります。とはいえ、もちろんある程度重いものも持ったり、油で汚れたりもしますので、そういった仕事を続ける覚悟が必要です。

求人情報を探す際には、自分のスキルや経験、希望する勤務地などを考慮に入れて選ぶことが大切です。また、待遇や福利厚生、職場の雰囲気なども確認することをおすすめします。さらに、NC旋盤のエキスパートとしての資格、例えば「機械加工技能士」を取得することで、就職や転職の際に有利になることもあります。

NC旋盤の仕事を探す場合は、ものづくり専門の転職エージェントメイテックネクストを活用することで、多数の求人から各々のスキルに合った求人の紹介を受けることができます。

NC旋盤は、高精度の部品加工が可能であり、同一品質の部品を大量に製造することが可能です。これにより、クライアントに高品質な加工品を提供することが可能となります。このような特性から、NC旋盤のオペレーターは、製造業界で重要な役割を果たし、その結果、多くの求人が存在しています。

座標計算アプリの活用

app storeより引用

NC旋盤の操作において、座標計算は重要なスキルとなります。しかし、複雑な形状の加工を行う際には、手計算だけでは時間がかかることがあります。そこで活用できるのが、座標計算アプリです。

座標計算アプリは、加工物の形状や大きさを入力することで、必要な座標を自動的に計算してくれます。これにより、プログラムの作成時間を大幅に短縮することが可能となります。

また、座標計算アプリを活用することで、計算ミスを防ぐことも可能です。これは、特に複雑な形状の加工を行う際には大きなメリットとなります。

座標計算アプリは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで利用することができます。これにより、現場で直接座標を計算することが可能となり、作業効率を向上させることができます。

具体的には、こちらの「NC電卓」というアプリが人気です。

NC旋盤とマシニングセンタの違い

NC旋盤とマシニングセンタは、どちらもNCプログラムで操作するという共通点がありますが、その操作方法と機能には大きな違いがあります。それでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

NC旋盤は、工作物を回転させながら切削工具を当てる方法で加工を行います。これに対して、マシニングセンタは、工作物を回転させずに切削工具が回転移動しながら切削します。つまり、NC旋盤は回転させながら切削するため円筒状や曲線の加工に強いのに対して、マシニングセンタは直線加工に強いのが特徴です。

また、マシニングセンタには自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)が搭載されています。これにより、加工で使用する切削工具をツールマガジンにセットしておけば、プログラムに沿って自動で工具を交換してくれます。この機能は、複数の工具を使い分けることで多様な加工を可能にします。一方、NC旋盤にもATCを搭載したものが一部メーカから発売されています1

このように、NC旋盤とマシニングセンタはそれぞれ異なる特性を持つため、加工する製品の形状や生産量によって適切に使い分けることが求められます。

信頼できるNC旋盤メーカーとその特徴

NC旋盤のメーカーは世界中に多数存在し、それぞれが異なる特性や機能を持つ製品を提供しています。その中でも、特に信頼できるメーカーとして国内の3大メーカーであるヤマザキマザック、オークマ、DMG森精機の3社が挙げられます。

  1. ヤマザキマザック:日本を代表する総合メーカーの一つで、NC旋盤以外にもマシニングセンタ、複合加工機、レーザー加工機、金属積層造形加工機(金属3Dプリンタ)など、様々な工作機械を製造しています。特にフラット旋盤シリーズは、最大加工径φ580×最大加工長 2985mmと、長尺大径対応の旋盤で、高出力な主軸と伝統的な角スライド駆動によって、非常に高い剛性を得ることができます。また、マザトロールと呼ばれる対話機能によって、簡単にプログラミングを行えることが特徴です。
  2. オークマ:オークマは、高品質なNC旋盤を提供しています。その製品は、精密な加工が可能で、多くの製造業者から信頼を得ています。3社の中で最も剛性が高いイメージがあります。筆者の勤務先も全てオークマの機械です。制御装置はOSPという独自のもので、他二社とは少し違うプログラミング言語が使われます。
  3. DMG森精機:1948年に繊維機械メーカーとして誕生した旧森精機製作所は、有力な旋盤メーカーとして戦後日本の金属加工業を支えました。その後2009年にDMG社と資本業務提携を結び、マシニングセンタのラインナップを大幅強化し、DMG森精機に社名変更しました。特にNC旋盤シリーズは、6インチ~24インチまでワークサイズに応じて幅広いラインナップから選択できます。

これらのメーカーは、長年の経験と技術力により、高品質な製品を提供しています。また、アフターサービスも充実しており、故障時の修理やメンテナンスに対応しています。ただし、NC旋盤の選定には、自身の加工ニーズや予算、設置スペースなどを考慮する必要があります。そのため、各メーカーが提供する製品の特性や機能を比較し、自身の要件に最も適した製品を選ぶことが重要です。

NC旋盤操作が難しい理由と対策

一般的にNC旋盤の操作が難しいと感じる理由としては、以下のような要素が考えられます。

  1. プログラミングの知識が必要:NC旋盤の操作は、専用のプログラムを作成し、それを機械に入力することで行います。そのため、プログラミングの知識が必要となります。これは、特に初心者にとっては難易度が高いと感じるかもしれません。
  2. 機械操作:衝突を避けながらの作業や、心押台を使った加工は難しく感じるかもしれません。
  3. 工具の種類が多彩:様々な工具の中から目的に合ったものを選ぶのは難しいです。

他にも図面の読み取りや測定、歪みの対策や特殊なクランプなど、難しい点は多くあります。

詳細はこちらの記事で書いていますので、ぜひ参考にしてください。

これらの難しさを克服するための対策としては、実際に経験を積んでいくのが一番です。

はじめのうちはどうしてもミスは起こるものですので、それを次回に活かしていくのが大切です。

難しいところもありますが、NC旋盤は夢中になれる、楽しい良い仕事と私は考えています。

NC旋盤オペレーターの仕事内容は?

NC旋盤オペレーターは、金属製品の切削加工を行う専門家です。彼らの主な仕事は、NC旋盤を操作し、金属部品の切削加工を行うことです。この工程は、外丸削り、中ぐり、正面削りなど、さまざまな切削加工を含みます。

NC旋盤オペレーターの仕事は、以下の大まかな流れで行われます。

  1. 加工方法の検討・工具の選択
  2. NCプログラムの作成
  3. データ入力→部材のセット
  4. 加工(ボタン操作など)
  5. 仕上げ
  6. 検査・検品
  7. 梱包・集荷作業

この流れの中で、加工方法の検討やNCプログラムの作成(1、2の工程)は経験やスキルが必要となります。一方、データ入力やボタン操作(3、4の工程)は基本的に誰でもできる作業です。仕上げ(5の工程)は、切削加工された部品を綺麗にする作業で、出っ張りを取り除くバリ取りや、やすり掛けといった作業を行います。最後に、出来上がった部品は検査・検品(6の工程)によって、不具合が無いかどうかのチェックを行い、梱包・集荷作業(7の工程)を行います。

また、NC旋盤オペレーターは、CADオペレーターやCAMオペレーターとしても活躍します。これらの役割では、図面通りにCADデータを作って加工パスをつくるだけでなく、どうしたら作業効率が良く製品ができるかを考える必要もあります。

NC旋盤はコンピュータ制御により高精度の部品加工が可能で、同一品質の部品を大量に製造することが可能なため、クライアントにレベルの高い加工品を提供することが可能です。

NC旋盤オペレーターの仕事の魅力とは?

NC旋盤オペレーターの仕事は、一日中立ち仕事で、同じルーティンの作業が発生することもあるため、忍耐強さも求められます。しかし、NC旋盤によって鉄の塊が削られ形が変わっていく様子は見ていて飽きません。また、近年ではオペレーターは注目されつつある職であり、女性の技術者の求人も増えています。

この仕事は、高度な技術と知識を必要とする一方で、その成果を具体的な製品として形にすることができる、やりがいのある仕事です。

NC旋盤操作に必要な資格とは

NC旋盤の操作には専門的な知識と技術が必要となります。そのため、一定の資格を持つことが求められることがあります。その一つが「機械加工技能士」です。

機械加工技能士は、都道府県職業能力開発協会が実施する、旋盤・加工に関連する国家資格の技能検定です。3級から特級まであり、それぞれ受験資格に実務経験が必要になってきます。しかし、国家試験というだけあり、持っていれば就職・転職に役立つことはあるでしょう。

このように、NC旋盤の操作には専門的な知識と技術が必要となりますが、適切な資格を取得することで、その能力を証明し、より良い職場環境を手に入れることが手助けとなりえます。

一方で、実務の能力とはそれほど関係ないのも資格試験の特徴です。なぜなら、試験に出る一つの製品さえ速く加工できるようになってしまえば試験は突破できてしまうからです。

実際はNC旋盤での少量多品種生産は奥が深く、図面に合わせた段取りを素早く自分で考える必要があり、現場で活躍するためには、臨機応変な対応を行えるだけの十分な実務経験が求められます。

まとめ

  1. NC旋盤は数値制御装置(NC装置)を組み込んだ旋盤
  2. NC旋盤はNC装置、操作盤、サーボモータの3つの要素で構成
  3. NC旋盤は主軸を回転させ、X軸方向とZ軸方向にバイトを動かし、刃物台の工具を交換する機能を持つ
  4. NC旋盤はCNC旋盤とも呼ばれ、コンピュータによる制御が可能
  5. NC旋盤の制御にはNCプログラムが必要で、工具の選択や加工内容などを定義
  6. NC旋盤の操作は適切な知識と技術が必要で、安全装置の確認や保護具の着用が必要
  7. NC旋盤は量産加工に適しており、複雑な形状の加工も可能
  8. NC旋盤の価格は型式や年式、メーカー、状態により変動し、中古の場合も価格が大きく変動する
  9. NC旋盤のメンテナンスは定期的に必要で、刃物類の取り替えや油類の管理が重要
  10. NC旋盤の操作には専門的な知識と技術が必要で、一定の資格が求められることがある
  11. NC旋盤オペレーターの仕事は一日中立ち仕事で、同じルーティンの作業が発生することもあるが、やりがいのある仕事
  12. NC旋盤は高精度の部品加工が可能で、同一品質の部品を大量に製造することが可能
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この記事では、NC旋盤という金属加工機械について、私の経験と知識をもとに解説しました。

NC旋盤に興味のある方や、金属加工の仕事に就きたい方の参考になれば幸いです。

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