“スイス型自動旋盤用工具”ならHORN社製がおすすめ!「便利&高精度」の理由とラインナップを解説!

心押しをせずに小径の高精度加工を行う「スイス型CNC自動旋盤」での加工には、工具の精度と切れ味がとても重要な要素になります。

加工時の「びびり」「ワークの倒れ」に悩まされた経験のある方も多いのではないでしょうか?

本記事ではスイス型自動旋盤用の工具として、ドイツの工具メーカー「HORN」のものが大変性能が高いことを知りましたので、その特徴とラインナップをご紹介します!

HORN社のスイス型自動旋盤用工具

HORN社は「溝入れ」工具を得意とするドイツの工具メーカーで、世界中で工具を販売しています。

従業員数は約1400人と、規模は国内でいうとタンガロイ社と近いくらいでしょうか。

超硬母材を自社生産するほどのこだわりで、剛性の高い高品質な工具が揃っている印象です。

HORN社のスイス型自動旋盤用工具の中で、本記事では特におすすめの外径用工具、以下3点をご紹介します!

・システム274 

・W&F製ヘッド交換式ホルダ

・システム224

“システム274” スイス型CNC自動旋盤に最適

システム274は、スイス型自動旋盤に最適なサイズが揃っているシリーズです。

自動旋盤に最適化されているのはサイズだけでなく、その精度、表面品質、剛性面、耐摩耗性にもこだわって作られています。

【システム274】3種類から選べるホルダ

274シリーズのホルダには主に3種類があります。

  • S274―標準のホルダ
  • S274Eシャンク背面からの引きねじによるクランプ方式のホルダ。(正面にレンチを入れるスペースがない場合に大変便利です!)
  • S274SF超高精度の精密仕上げ用ホルダ。タングステン合金シャンクにも対応。

それぞれの比較については下表をご覧ください!

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システム274の特徴

多様なインサート形状

システム274には、下図のように取り付けられるインサート形状に様々なものがあります

1本のホルダがあるだけで、ねじ切りやならい加工など、選択するインサートによって多くの加工に対応できます

加工内容が変わってもホルダを交換しなくても良いのは大変便利ですね!

超高精度な芯高繰り返し精度

スイス型自動旋盤では小径の精密加工を行うため、芯高を高精度に合わせることが大変重要です。

極小径だとわずかな芯高のズレが寸法精度の狂いや切削抵抗の増大、刃先のチッピングにつながりますよね。

その点、超精密仕上げシステムS274SFでは、なんと芯高繰返し精度±0.0025 mm を保証しています!!

ホルダの工具台接触面とインサートを取り付ける部分、インサートを全て精密研磨し、この精度保証を実現したとのことです。

保証値が0.0025mmなので、実際の繰り返し精度はさらに高いと思われます。一度芯高をあわせてしまえば、取り付けミスが無い限り、インサート交換が原因で芯高がズレることは皆無と考えていいでしょう。

極限まで切削抵抗を落としたインサート

HORN社の自動旋盤工具用インサートは、刃先の鋭さへのこだわりがすごいです。

自社での高度な研磨技術ですくい面と逃げ面を精密研磨し、切れ味や切粉排出性、耐溶着性能を高めているとのこと。

すくい面・逃げ面の摩擦係数の低さは構成刃先の起こりにくさに直結しますので、その分チッピングも起こりにくくなります。

そして、特に切れ味が段違いな印象です。ぜひ一度体感してみていただきたいと思います。

【システム274】医療用ステンレス(SUS316L相当)の加工事例

SUS316L相当の加工事例です。

難削材の加工ながらも、他社工具と比較して切削条件を上げつつ、なんと15倍以上の工具寿命を実現しています

他社工具HORN
LS274SF ES15
回転数 n (rev/min)2,8654,135
切削速度 Vc (m/min)4565
1回転当たりの送り s (mm/rev)0.0030.008
切込み ap (mm)0.0250.025
表面粗さ(外観)良好
寸法精度良好良好
工具寿命(個)2003,000以上
加工後の刃先の顕微鏡画像。3000個以上加工してもチッピングがない。

W&F製ヘッド交換式ホルダ

本記事でご紹介する中で、私の一押しの工具はこちら!

W&F社(HORN社のパートナー会社)のスイス型自動旋盤に最適なヘッド交換式工具です。

下図のように、多様なヘッドを高い繰り返し精度で交換することができるため、くし型の刃物台でも工具の脱着が非常に簡単に行なえます。

W&F製ヘッド交換式ホルダの特徴

ヘッド交換時の簡単さと精度の高さ

くし型の刃物台の場合、レンチが入らずインサート交換が行いにくい場合があるかと思います。

そういった場合でも、ヘッド交換式であればホルダを刃物台につけたままで刃物の交換が可能です。

さらに位置決めの繰り返し精度が+-0.003mmと大変高いため芯高の狂いもなく、後述のように機外でのツールプリセットも可能です。

繰り返し精度の高さを利用した「機外ツールプリセット」

ヘッド交換の繰り返し精度の高さを活かし、加工中に機外で工具長を測定、補正値を入力することで「機外ツールプリセット」を行うことが可能です。

加工中に工具の段取りを終わらせておくことで、トータルの作業時間を短縮することができます!

ヘッド交換式ならではの便利な使い方ですね。

機外で工具長を測定することで、ツールプリセットを行っておける

ものすごく多様な交換ヘッド

この工具、下図の通り交換ヘッドが本当に豊富です。

溝入れ、よく使う外径刃物、ねじ切り、剣バイトといったところまで揃っているだけでも助かりますが、なんと内径加工に対応した交換ヘッドまでラインナップされています

小径な上に溝深さが深い溝入れは手研ぎで高剛性の工具を作るのが難しく、HORN社の内径溝入れ工具「ミニ・シリーズ」に頼りたいところですので、それがヘッド交換で活用できるというのは本当に便利です。

通常の「ミニ・シリーズ」については、こちらの記事「キー溝が旋盤で切れる!?ホーンの工具が便利すぎる!!」でご紹介していますので、ぜひ合わせてご覧ください!

「ミニ・シリーズ」の交換ヘッド

“システム224″溝入れ・突切り・ならい加工

システム224は、溝入れ・突切りに特化したホルダです。ならい加工も可能な新しい39°インサートのモデルも販売中とのこと。

こちらにもスイス型自動旋盤に最適なモデルがありますので、ご紹介します!

システム224の特徴

サイドのねじでクランプできるホルダ

ご紹介するのは「サイドのねじでインサートをクランプできる」モデルです。

下画像のように、くし型の刃物台でも干渉を起こさずにインサートをクランプすることができます!

上下2方向にクーラントホール!!

内部給油に対応しているだけでなく、上下の2方向にクーラントホールが設けてあります。

新製品”PTブレーカー”

システム224の新製品として、チップ背面の角度が50°のものが発売されました!

最大50°の鋭角で切り込めるため、後引き・ならい加工に最適です。

ブレーカーはスイス型自動旋盤での使用を意識した作りになっており、低切込み低送り(約ap0.5、f0.1mm/rev)で切りくずを分断できる形状になっています。

チップ背面の角度が50°のため、後引きに最適

その他多くの自動旋盤用工具をラインナップ

HORN社のパートナー会社であるW&F社・GRAF社による工具をはじめ、本記事でご紹介したものの他にも多くの自動旋盤用工具がラインナップされています!

GRAF社製各種アダプタ

HORN社の工具は他にも色々あります!

今回はスイス型自動旋盤用工具をご紹介しましたが、その他の工具、特に溝入れ工具は他メーカーの工具と比較してラインナップが大変豊富です。

Tスロットカッターはもちろん、φ0.2の穴ぐりが可能なボーリングバー、内溝、Y軸突切りまで、高剛性なものが揃っています。カタログをみているだけで面白いので、ぜひ一度覗いてみてください(^^

また、ブローチングと小径内径加工「ミニ・シリーズ」、旋盤用溝入れ工具ヘッド交換式Tスロ「サーキュラーミル」については以前記事にしていますので、興味がある方はぜひご覧ください!

工具選定の電話サポートも!

「カタログだけで工具を注文するのは不安。電話で確認しておきたい!」という方も多いと思います。私もそのタイプです。

HORN社でも、国内の工具メーカーと同様に電話で技術相談を受け付けています!

こちらの電話番号から、IZUSHI 刈谷テクニカルセンターにご相談ください。

→HORN工具に関する技術相談窓口(IZUSHI 刈谷テクニカルセンター)TEL:0566-62-8075