旋盤で使うバイトについて解説!②〜加工の種類と刃物の形状〜

旋盤で使うバイトについて解説!②〜加工の種類と刃物の形状〜

旋盤のバイト、様々な種類がありますよね。

旋盤で使う刃物は、加工に応じて様々なものを使い分ける必要があります。

フライスしか経験のない方はその種類の多さに驚くことも。

本記事では、旋盤加工においてどんな加工でどんなバイトを使うのかを解説しました!

ちなみにバイトには手研ぎバイトとスローアウェイバイトの2種類に大別できます。詳しくはこちら!

外径加工で使うバイト

出典:モノト様  https://monoto.co.jp/turning/
外径バイト
出典:タンガロイ https://catalog.tungaloy.com/Family.aspx?fnum=25&mapp=IS&GFSTYP=M
出典:日刊工業新聞社 https://pub.nikkan.co.jp/uploads/book/pdf_file4ef7d943acdd0.pdf

最も基本的な削り方、外径加工では、画像のような形状のバイトを使います。

私がいつも使っているのはスローアウェイバイト、画像のものと同じ55°のひし形のタイプです。

様々な角度の外形バイトがある

外径バイトには様々な角度のものがある(出典:タンガロイ https://www.flipsnack.com/tungaloy/gc_2020-2021_j/full-view.html)

外径バイトには様々な角度のものがあります。

上図に6種類のものを掲載しましたが、私が勤務先で使っているのは35°、55°、60°、80°のものです。

図の通り、比較的鋭角の刃物を使うことによってワークに角度をつけて削り込むことができるようになるため、加工の幅が広がります。

また、鋭角なほど芯押しセンタにも干渉しにくいです。

一方刃先の丈夫さやコーナー数、チップブレーカーの切り粉分断性能は鈍角のほうが有利です。

どの角度にもメリットがあるため、場合によって使い分けると良いです。

削りたい形状に合わせて最適なバイト角度を選びましょう。

丸コマ

丸コマバイトは先端の形状が円形になっているバイトで、外径バイトの一種です。

刃先の左右両方を使って加工できるため、向きを問わず加工することができます

役割としては後述する溝入れバイトと似ていますが、加工面にRがついてる場合は丸コマでないと加工できません。

ただ丸コマには一つ難点があります。刃先がワークに当たる面積が多くなってしまうため、負荷が大きくなってしまうことです。

注意して加工しないとびびりが発生してしまったり、表面がむしれてしまいます。最悪の場合ワークが動いてしまうことも・・・。

あまり切り込み量を大きくはできませんので何度かに分けて切込み、負荷を小さくする工夫をしながら加工しましょう。

内径バイト

内径バイト丸コマバイト(出典:タンガロイ https://www.flipsnack.com/tungaloy/gc_2020-2021_j/full-view.html)

内径バイトは、穴ぐりを行うバイトのことです。ボーリングバーとも言われます。

穴をくり広げたり、穴の仕上げ加工で寸法公差に入れるために使います。

内径加工はビビリが発生しやすく、切り粉でのトラブルも多いです。

基本的な加工の1つですが、難しいものは本当に難しくかなり奥が深い加工です。

当サイトでも何度か内径バイトについては取り上げていますので、ぜひご覧ください。

溝入れバイト 内径溝入れ、端面溝入れ

外径溝入れバイト(出典:タンガロイ https://www.flipsnack.com/tungaloy/gc_2020-2021_j/full-view.html)

溝入れバイトはその名の通りワークに溝を入れたり、それだけでなくワークを突っ切って切断するために使われます。

また、外径の溝入れバイトだけでなく内径溝入れバイトや端面溝入れバイトも存在します。

溝入れバイトは溝幅と深さのバランスがとても重要です。溝幅が大きい溝入れバイトを使うと切削抵抗が大きくなりすぎてビビリが発生しやすくなってしまいます。 かといって溝幅が小さすぎるとあまり深い溝は加工できませんし、荒加工を行う場合は何度も切り込まなければなりません。

素早く加工できて、なおかつびびらない溝幅を選択する必要があります。

深い溝の場合切り粉の詰まりも発生しやすく、内容によっては経験を要する加工になります。

溝入れバイトを購入するなら、ホーン(HORN)社のものがおすすめです。

ホーンは、溝入れに特化したドイツの工具メーカーです。

溝入れに特化しているだけあって溝入れ工具のラインナップがかなり豊富で、国内メーカーの追随を許さないレベルです。

ホーン社の工具については詳しくはこちらの記事で解説していますので、気になった方はぜひご覧ください!

また、タンガロイから高送りが可能な”あご”がついた溝入れバイトが販売されており、その工具を取り上げた記事を書いていますので、興味がある方はご覧ください!

追記:このタイプのバイトはHORNからも販売されています。

ねじ切りバイト

ねじ切り加工の様子(出典:タンガロイ https://tungaloy.com/wpdata/wp-content/uploads/375-j.pdf )

ねじ切りバイトは、その名の通りネジを切るためのバイトです。

外径のねじ切りだけでなく、内径のねじ切り用のバイトもあります。

ねじ切り加工には旋盤加工の中でも難しいものが多く、経験が必要となる加工の1つです。

特にピッチの大きいものは切削抵抗が大きくなり、びびりが発生しやすくなります。

ねじ切り加工についてはこちらの記事で詳しく解説しています!

総形バイト

総形バイト(出典:吉田機械サービス http://yks.jp/sb3%20syouhinnjyouhou.html)

総形バイトとは、刃物の形をそのままワークに転写するように用いる工具のことです。姿バイトとも呼ばれます。

特に汎用旋盤でのR加工や、特殊な形状の溝入れに使われます。

基本的には自分で工具を研ぎ、目的の形にしてから使います。

また、総形刃物の加工業者もあります。オーダーメイドですので通常より高価な刃物になりますが、特殊な形状を素早く加工することができます!

一方刃物がワークに当たる面積が大きくなるため切削抵抗が大きく、SUS304などの難削材には向かない工具です。

HORNでも総形工具を制作可能!

先程ご紹介した、高剛性工具に定評のあるHORNでも総形工具の制作を行っています。

短納期でメーカー品質の総形が手に入る、良いサービスだと思います!

旋盤ではバイト以外の工具も使う!

Ocean blue
FUZINE Ocean Blue
ハイスドリル

旋盤で使う工具はバイトだけではありません。

頻度の高いものではドリルやエンドミル。リーマも使います。

他にもスロッターやステッキなど特殊な形状の刃物を含めれば、さらに多くの刃物が使われます。

旋盤の工具は本当に多種多様で奥が深いものです。

今回ご紹介させていただいた刃物を基礎知識として様々な旋盤の工具に触れてみると、加工の幅も広がるかと思います!

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