MECT(メカトロテックジャパン2021)に行ってきました。
私は愛知県民なので比較的近場での開催。とても規模が大きく、楽しい展示会でした!!行ってよかった。
数記事にわたって、面白かった展示を記事にしていきます!
松浦機械さんの展示
まず向かったのは、ツイッターで5軸活用ガイドブックをもらったことをきっかけに招待券をいただいた松浦機械さんのブース。
(5軸活用ガイドブックについて詳しくはこちら)
機械加工twitter界での超有名人、関東営業所長五十嵐さんにお会いできました!
展示されている機械はマルチパレット搭載5軸マシニングのMX-330。
これが他のメーカーさんを回った中でも、町工場にぴったりのとても魅力的な機械と感じたため当記事でご紹介します!
コンパクトで小規模町工場でも導入しやすい
以前からこの商品自体はカタログを見て知っていましたが、現物を見てまず驚いたのはそのコンパクトさです。
写真はMECTで私が撮影したものですが、人が写り込んでいますのでそのコンパクトさが分かるかと思います。
通常のマシニングセンタ程度の大きさに収まっており、そのなかにパレットチェンジャーが装備されているのがわかります。
当然5軸本体部が小さい分ストロークは短めではありますが、このスペースでパレットチェンジャーを装備することは、それを補ってあまりある「儲ける力」を持った機械かと思います。
私がそう感じた理由を解説していきますね。
小規模町工場でこそパレット機のメリットが活かせる
町工場には無縁の機械だと思っていた・・・
私は松浦機械さんの機械と出会うまで、パレット式の5軸は、難しい加工の大量生産が必要な中規模以上の会社のためのものだと思っていました。私が勤務するような超小規模の町工場とは無縁なものだと。
森精機さんなどのプロモーションビデオでは画像のような難しいワークしか載せておらず、そういった難しいワークをパレットで入れ替えている様子などを見てきた中で、きっとわたしの脳内にそういうものだと刷り込まれていたんだと思います。
ですが、松浦機械さんの展示を見て驚きました・・・
多面イケールを使った、駄物の多数個取り
画像を見ていただけると分かるように、多面イケールに貼り付けるかたちで簡単なワークの多数個取りを行っています。
5軸はパレット自体を寝かせて自由に回転させられるため、一度の段取りで多数の簡単なワークを削れるんです。
この方法を上手く使えば、5軸ならではの難しいワークがなくてもいつもの製品で5軸を活用できます。
それだけでなく、サイクルタイムを集中させることができるため、長時間5軸を動かしている間に別の仕事をすることができます。
3軸MCや非パレット機のように、加工中はぼーっと待っているといった無駄な時間を省くことができるんですね。
手軽に夜間自動運転が実現できる
さらに多数個取りができる特性から、町工場でも簡単に夜間自動運転が実現できます。
昼間の間に段取りをしておき、夜間に加工するかたちです。
そうすれば昼間はパレットを使わないような、5軸ならではの高付加価値のワークに集中することができます。機械の償却費は夜間に稼ぎ、昼間の分はまるまる利益として残せるという算段です。
問題があるとすればイケールにクランプ治具をセットする工程。リピート品でないといちいちイケールの段取りをしなおさなければなりませんね。場合によってはイケール用のクランプ治具を買ったり、プレートを作ったりする作業が必要になります。
とはいえそこそこの頻度で定期的に入ってくる品物が50程度のロットからで十分儲けを出すことができるため、この機械のポテンシャルを活かせる町工場は意外と多いのではないかと思いました。
パレットチェンジと加工デモの様子をビデオに収めました!
五十嵐さんのご厚意で加工デモの様子をビデオとして収めることに成功しましたので、ご紹介します。
パレットを交換し、比較的簡単なワークを多数個取りで加工している様子です。
特別難しいワークでないため干渉に関しても危なげなく、さらに5軸ならではの方法で多数個取りで加工できており、パレット式5軸が儲かるイメージが湧きますね。
制御装置はファナックに加えて、パレットの操作に松浦機械さん独自の制御システムが搭載されており、特急の仕事が入っても簡単にパレットの加工順序を入れ替えることができるそうです。
さらに工具が折れたら自動的に予備工具に切り替えてくれる機能や、パレットチェンジの際に切粉が噛み込んだらそのパレットを飛ばして次の加工に自動的に移るなど、無人でも機械を止めない工夫が随所に見られました。
機械性能も十分。X軸ストロークは短めであることに注意
機械性能も十分です。主軸は標準で最高回転数15000rpm、オプションで20000rpmも搭載可能です。
また、ハイパワータイプの主軸もオプションで選択可能。
ツールマガジンは90本まで拡張できます。
旋削機能はC軸回転のみでは不可ですが、オービット加工とC軸回転を組み合わせた簡易旋削機能を搭載しています。
おそらくですが、パレットがついており加工機部が小さい分、同価格帯の5軸に比べてX軸ストロークが短いです。
とはいえφ330の高さ300までパレットに乗り、その大きさを加工できる分のストロークはありますので特別な用途でない限り十分かと思います。
やはり長さが必要なワークは3軸が得意とするところですね。
大きいワークもパレットに載せられるMX-420のチラシをゲット
新製品かと思われますが、パレットが標準搭載で、パレットに載せられる最大ワークサイズが大きくなったMX-420Vが新発売されたようです!
総評すると、かなり流行りそうな機械
MECTで様々な5軸マシニングを見ましたが、その中でMX-330は一番町工場が稼ぐことに特化した、現実的にとても流行りそうな機械だと感じました。
30年ほど前くらいに汎用機から自動機への転換が一気に進んだそうですが、それと同じように新規導入をする機械が3軸MCから5軸パレット機へ一気に転換しそうだと感じさせられる機械です。(もちろん現在も汎用機ならではのメリットがあるのと同様に、剛性など3軸には3軸の良さがあるため使い分けも大事ですね)
5軸の導入を検討している方、5軸を既に持っている方、松浦機械の関東営業所長五十嵐さんがtwitterで配布している5軸活用ガイドブックで、本記事で紹介したような駄物を5軸で加工したり、効率的な加工治具の使い方・作り方が掲載されています。
メーカー問わず「5軸で稼ぐ力」が間違いなく上がる内容ですので、ぜひ取り寄せてみてください(^^
五十嵐さんのtwitterも、製造業の未来を知れる、ためになる&面白いツイートが多いため機械加工に興味がある方はフォロー必至です!
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