今回は、前回の続きで、内径把握の生爪の加工方法を解説していきます!
前回の記事はこちら↓
内径把握(内張り)ってなに?
旋盤の爪で、ワークの内径を把握できるのをご存知ですか?
内径把握とも言いますが、内張り、張りチャック、内開きなどとも言います。
画像のように、生爪の外径を削って、チャックを開く方向に力を加えることでワークを掴む方法です。
その内張り用の生爪の加工方法を解説します。
芯を出すには内張りの状態にして加工する
一番オーソドックスな方法は一応こちらの画像の通り。
先に生爪の荒加工を終えておき、生爪のザグリ穴にピンを入れ、そのピンにかかるようにリングを内張りでつかみます。
そうすれば内張りの状態になるため、画像のように爪の外径を仕上げられるというわけです。
その他にリングを直接生爪の外径にかける方法もあります。その方法であれば、荒と仕上げを連続で行うことができます。
ですが・・・
どちらも私はやったことがありません。チャックを覆うほどのリングはさすがに専用で削らなければ用意できないからです。
わざわざリングを用意するのが手間・・・。
なので、勤務先では以下の方法をとっています。
芯がでないことを承知の上で、芯金を外締めでつかみ生爪を加工する
実際に使っている方法は、普通に外締めの爪を加工する段取りで加工してしまう方法です。(段取りの方法は前回の記事で説明したとおりです。)
この方法、芯がピッタリは出ません。
なぜなら、チャックには遊びがあり、内張りと外締めでその遊びの分同じように芯がでることはないからです。
しかし、仕上げ面をつかまない場合はそもそも芯の狂いは関係ありませんし、仕上げ面を掴む場合でも普通公差に入る程度の芯は出るので問題ありません。
本当に内張りで芯を出さないといけないのは、芯振れの幾何公差がはいっており、かつ数物を加工する時くらいなものです。少量だと芯出しをしてしまえばよいですが、数物となると毎回芯出しをやっていられないですからね。
なので、そのような時以外はこの方法で楽に内張り用の爪を成形してしまいましょう。
この方法で加工する場合は、芯出し作業を必ず行う
この方法で内張り爪を作って加工を行う場合、芯が出ないため加工時に芯出しの作業が必要になってきます。
その方法はこちらの通りです。
- ワークを内張りで掴みます
- ダイヤルゲージで根元部分の芯振れをチェックし、目盛りが一番振れない箇所の爪番号を確認します。
- ワークを外し、確認した番号の爪に新聞紙を噛ませ、再びワークを掴みます
- 芯振れをチェックします
- この作業を芯振れが許容値になるまで繰り返します。
- 根本部分の芯が出たら、今度は先端部分の芯振れをチェックします。
- 先端部分の芯振れをプラスチックハンマーで直して作業完了です。
芯振れの幾何公差が入っていない場合でも、上記の方法で爪を成形した場合は芯振れをチェックしておいたほうが良いです。
少量の加工でしたらそれほど時間のかかる作業でもありませんし、運が良ければこの芯出し作業の必要さえなく加工することが可能です。
芯を出してを出して加工したい場合はこんな商品も
芯振れの幾何公差がはいっており、かつ数物を加工する時など、芯を出したい場合は、先程のリングを用意するのが基本となりますが、下のような商品を使う方法もあります。
チャックARという商品で、このようにジャッキで掴む径を動かすことができるので、これ一つあれば様々な径の内張り爪を加工することができます。
私の勤務先では使っていませんが、内張り爪を成形する機会が多い方は一つの選択肢になると思います!
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