展示会ではよく目にする半NC旋盤。
汎用旋盤とNC旋盤の両方を使っている私にとってはあまり魅力的に見えず、詳しく調べることはありませんでした。
ですが今回JIMTOFオンラインで、大日金属工業の半NC旋盤の紹介動画を見て、便利で面白い機能がついてるなーと感じたのでこの記事で共有していきます!
半NC旋盤ってこんな機械
こちらは長尺仕様なので、半NC旋盤の中でも少し特殊なものですが、半NC旋盤とはこの画像のように、汎用旋盤の形をしているがNCプログラムを動かせるNC旋盤のことです。
汎用旋盤の取り回しやすさとNC旋盤の司令機能を兼ね備えた、オールラウンダーの旋盤です。
ですがNC旋盤に装備されている工具タレットがないという大きなデメリットを抱えていますし、当然ですが汎用旋盤より価格は上がってしまいますので、現実的に導入するとなると難しいポジションにある機械だと思います。
NC機ならではの回転数・送り操作が便利
汎用旋盤では一度回転を止めなければ回転数を変えることができませんよね。
この機械であればNC旋盤らしく、回転中にもダイヤルで回転数を変えることできます。
そして動画の通り、選択できる回転数の種類も汎用旋盤より断然多いです。
送り速度も同様にダイヤルで簡単に操作できます。
そして汎用旋盤では不可能な一定周速制御(刃物がワーク中心に近づけば近づくほど回転数が上がる)も可能です。
汎用旋盤として使うなら素直にこれらの機能は便利だなーと感じました。
三条ベッドがかなり便利
三条ベッドは大日の「スマートターン SS-75」など一部の機械にしかありませんが、この機能、長尺物の加工にかなり便利です。
三条ベッドは、動画のように刃物台と振れ止め・心押台が独立したベッドに設置されているため、刃物台が振れ止めや心押台に干渉しません!
この便利さは汎用旋盤を触ったことがある方なら分かるはず。
長尺ワークにもってこいの機械ですね。
振れ止めが自動で開閉する
この機械の振れ止め、動画のように自動で開閉してくれます!
振れ止めの自動芯出し機能もついているそうです。
三条ベッド構造も相まって、振れ止めもかなり扱いやすそうですね。
プログラムは対話式
きちんと対話式のプログラム作成機能が用意されているため、NC旋盤では非効率的な手打ちプログラムを入力する必要はありません。
一応半NCもNC旋盤の一種なので当然の機能ではありますが、効率化のために絶対必要な機能ですよね。
実際に使ってみなければわかりませんが、対話の使いやすさが作業スピードに直結してくるため、そこのところが気になりますね。
だが実際に導入するとなるとどうか・・・?
半NC旋盤はデメリットが大きい
単品ものを加工していくとなっても、工具を4本しか取り付けられないというデメリットがかなり大きいです。
摺動面もむき出しで、通常のNC旋盤より手入れが必要です。
そのような、あくまで機能は汎用旋盤の延長でしかなく、それでいてNC旋盤と大差ない価格なのであれば、多くの場合もう少しだけ金額を上乗せしてNC旋盤を買ったほうが良いと私は思います。
ですがこれは汎用旋盤がすでにある場合の話です。
汎用旋盤として半NC旋盤を買うのであれば、価格の高さに目を瞑れるのであれば検討の価値は十分あると思います。
長尺ものの加工にはメリットが大きくでる
NC旋盤と比べてデメリットも多い半NCですが、長尺物の加工においては話は別になってきます。
フルカバーのNC旋盤はストロークが比較的短く長尺物はあまり得意ではありません。
その点半NC旋盤で長尺物を加工するのであれば、ストロークが長いことはもちろんのこと振れ止めもかなり扱いやすく、ワークの載せ降ろしも比較的簡単です。
長尺ワークでは一つの工具でのサイクルタイムが長めであるためNC機能のメリットも出やすいです。
それでいてR面取りや倣い加工、難しいねじ切りなど、職人技が必要であった部分も補完できます。
単品ものの長尺加工が多い場合にはじめてメリットが大きくなり、検討する価値がある旋盤と言えると思います。
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