マシニングセンタのプログラム作成。マシニングでの加工の仕事を覚えるにあたって初めに訪れるハードルの一つです。
私も初めたばかりの頃、十分なスピードで打てるようになるまでには苦労がありました。
その経験を活かし、本記事ではマシニングセンタプログラムの覚え方を現役マシニングセンタオペレータである私が解説しました!
※本記事はOSP(オークマ)でのプログラミングを例に解説していますが、全メーカーの制御装置にあてはまる内容になっていますので、オークマ以外の方も安心してご覧ください!
マシニングのプログラムの覚え方は3段階だけ!
マシニングセンタプログラムの覚え方は、3段階をクリアしていけばよいだけです!(口で言うのは簡単ですが、一人前の時間で打てるようになるには最短でも半年ほどの時間がかかります。)
- プログラムテンプレート(基本的なプログラム例)の内容と意味を理解する
- プログラムテンプレートをスラスラ打ち込めるようにする
- 実践練習あるのみ!
ひとつずつ解説してきます!
第一段階―プログラムテンプレートの内容と意味を理解する
まずは、お手本となるプログラムテンプレート(基本的なプログラム例)を覚えるところからです。
初めはプログラムのどのコードがどういう意味なのか分からないと思いますので、まずはそれを理解しましょう。
例えばG15H2は、「原点番号2番に登録した原点設定を呼びだす」という意味です。(G15で原点呼び出し、H2で原点番号指定)
こういったプログラムの意味を、下のテンプレート全てのコードで1行ずつ理解していきます。
プログラムテンプレート(OSP) ※コードの意味は下記記事「オークマのマシニングプログラム まずはこれを覚える!」をご参照ください!
G15H2
T4M6
G90G0X70Y-30T7
G56H4Z100
S1000M3
M8
G0Z2
G1Z-0.1F1
G42G1X60D4F2
G2X70Y-20R10
G1X95Y-10
Y10
G40G1X105
G0Z100M9
M5
M2
プログラムのテンプレートと、その意味についてはこちらの記事をご利用ください!
こちらのプログラムについて、一行ずつ意味を解説しています!
第二段階―プログラムテンプレートをスラスラ打ち込めるようにする
プログラムテンプレートの意味を理解できたら、次は図面だけを見てプログラムテンプレートを打ち込めるように練習しましょう。
この練習は、紙とペンさえあれば可能です。
図面だけを見て、プログラムテンプレートを何度も書いてみましょう。
繰り返し書くうちに、ミスも減り、書き終わるまでの時間もどんどん短くなっていきます。
そして最終的には、図面さえ見なくても一切手を止めることなく最速で書くことができるようになります。
そこまでできればOKです!
成長を実感してモチベーションをあげるために、ストップウォッチで時間を測りながら練習すると良いです。
第三段階―ひたすら仕事をこなして練習!
仕事で使うプログラミングを速くするためには、仕事で使うのが一番です。
とにかく仕事量をこなし、実践でプログラムをつくりながら覚えていきましょう。
テンプレートで覚えたもの意外のコードも使うことになるでしょうが、基本的にテンプレートを変形させたものです。意味さえわかればすぐに使えるようになり、実践で身についていきます。
初めは手が遅いのは仕方ありませんが、半年ほど経てばかなり速くなっているはずです。
プログラミングを早く覚えるためのポイント!
できるようになるまでマシニングセンタを集中して練習する
私の場合はNC旋盤を先に習得し、NC旋盤の仕事をこなしながらマシニングセンタを触り始めました。
1週間触っては1ヶ月休む・・・といったやり方だったこともあり、やっては忘れての繰り返しになり、なかなかスピードが上がらなかった経験があります。
その後、新入社員が仲間入りしてくれたことにより集中してマシニングセンタを触れるようになってから一気に上達が速まりました。
速く覚えるためには、なるべくマシニングセンタに集中して取り組むことが近道です。
一日中ということが難しい場合は、1日に少なくとも2時間くらいは毎日マシニングセンタを触るようにすることをおすすめします。
紙とペンで練習する
プログラムの作成は、機械加工の仕事の中で数少ない「機械がなくても練習できる仕事」の一つです。
図面と紙とペンさえあれば、機械やパソコンの前でなくても練習することができます。
仕事が終わって家に帰ってから、例えば寝る前の15分だけでも練習するようにすると上達が速くなります。
私も実践しましたが、プライベートの時間で仕事の練習をするのはかなりの胆力が必要です。
継続するコツは「習慣化」してしまうこと。はじめのうちはキツいですが、毎日15分を1週間ほどつづけることができれば、その後はそれほど苦ではなくなります。
わからない点ははじめのうちに解決しておく
プログラムの練習は、はじめは決まったパターンを覚える作業になります。
この点でわからないことをそのままにしてしまい、間違った点があるまま覚えてしまうと、折角覚えたプログラムテンプレートがまた覚え直しになってしまいます。
そうなると非常に非効率ですので、はじめのうちにわからない点は先輩に聞くなどしてしっかり解決してからプログラムテンプレートを覚えていきましょう。
プログラムの極み「マクロ」の世界
マシニングセンタでは「マクロ」を活用することでより効率的なプログラミングができるようになります。
現在はメーカーによっては対話やCADCAMで多くを代用できますが、手打ちプログラミングの範囲内はマクロは大変有効です。
単品もの加工の仕事をこなしながらそういった点まで習得しようと思うと半年どころか、またさらに何ヶ月もかかってしまうと思いますが、とても面白い分野です。
プログラムも奥が深いですので、興味があれば挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
マシニングセンタのプログラムは
- プログラムテンプレート(基本的なプログラム例)の内容と意味を理解する
- プログラムテンプレートをスラスラ打ち込めるようにする
- 実践練習あるのみ!
この3段階で習得するのが近道です。
はじめにしっかり理解した上で練習することで、上達が速くなります!
はじめのうちはなかなか手が速くならず苦労するかもしれませんが、一度体が覚えてしまえば自然と速く作れるようになります。
ぜひ本記事を参考にしていただき、練習に取り組んでみてください!
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