職人技術が必要である「旋盤」での加工。
汎用旋盤と違って数値制御で自動運転するNC旋盤でも、職人技術は少なからず必要です。
本記事では、NC旋盤を覚えるまでに何年かかるか、現役NC旋盤工が解説しました!
基本的な単品もの加工であれば約1年で覚えられる
まず前提として、NC旋盤を「覚える」「できるようになる」この定義は会社によって違います。
私の会社では主に1〜5個くらいの小ロット生産が中心です。 その前提でお話しすると、NC旋盤を覚えるのにかかる期間は大体1年といえます。
応用的な加工や治具の設計、各種パラメーターの設定や理解、応用的な機械のメンテナンスまで含めると、正直何年あっても足りません。常に勉強です。
ですが基本的な加工を覚え、一人前の加工技術者として会社に貢献することができるようになるまでとすると1年程度といえます。
私の勤務先でのNC旋盤を「覚える」とは
さて、先程”NC旋盤を「覚える」「できるようになる」この定義は会社によって違う”と書きました。
一例として、私の勤務先でのNC旋盤を「覚える」というのは具体的にどういうことか、本項では解説します。
特別向いていない人でなければ、下記の技術を平均1年くらいで習得できるということです。
色々書きましたが、比較的簡単な仕事を一人でベテランと大差ない速さで加工できるようになるというところまでが「NC旋盤を覚える」といえます。
大量生産では技術の習得に時間がかかる
前項で解説した技術を1年で習得できるというのは、あくまで私の職場環境下での話です。
小ロット(単品もの)の加工は、勤務時間のうちに段取りを行っている時間の比率が多いので、段取りの技術が早く身につきます。
一方、大ロット(大量生産)の場合では勤務時間のうち段取りをする時間はほとんどないという会社もあり、それでは1年どころか3年勤務していても段取りの技術の習得は難しいでしょう。
ですが、戦力になりやすいのも大ロット(大量生産)の特徴です。段取りを覚えられなくても、ワーク交換などの作業スピードと、スケジュール管理、品質管理を覚えれば十分戦力になることができるため、半年もあれば、ベテランと遜色ない働きができる可能性もあります。
技術力を高めたいなら「小ロット」、即戦力になりたいなら「大ロット」
加工の経験がない方にはイメージが湧きにくいかも知れませんが、同じNC旋盤加工の仕事でも「小ロット生産」と「大ロット生産」では仕事内容が大きく違います。
なので、「NC旋盤を覚える」の内容も、小ロットと大ロットで大きく違うのです。
図面を見ながら一つ一つの加工方法を考える、職人技術が求められるのが「小ロット生産」の会社。
一方、単純作業が多く、加工技術よりミスのない品質管理や、スケジュール管理が求められるのが「大ロット生産」の会社です。
技術力が身につきやすいのは「小ロット生産」の特徴といえますが、誰でも即戦力になりやすいのは「大ロット生産」の仕事といえるでしょう。
どちらも仕事のスピードは大切ですので、その点は共通していますね。
応用的な加工まで含めると、10年はかかる
NC旋盤技術を本当の意味で覚えようと思うと、10年はかかります。
私はこの業界に入って本記事執筆時点で8年目ですが、まだまだゴールが見えません。
というかゴールはありません・・・!
すでに引退した私の師匠(その道50年ほど)も「未だに勉強」と言っていました。
とはいえ、10年小ロット加工の経験を積めば、応用的な加工や、応用的なトラブルも一人で解決できる力がついてくると思います。
この部分に関しては職人技の世界なので、一概に何年とは言えませんが、5年以内の経験で実現するのは難しいと思います。
汎用旋盤での加工やフライス加工も習得することで幅が広がる部分もありますので、本当にNC旋盤を習得しようと思えば、NC旋盤以外の機械もさわれるようになる必要があります。
加工の世界、職人技で難しいとはいえ、だからこそ誰でも成長が実感できて楽しい仕事だと思います(^^
ずっと加工の仕事をしていた人が転職後、また戻ってきたというのは本当によく聞く話です。
加工技術に興味がある方はものづくり系に特化した転職エージェント、メイテックネクストで電話面談を受けてみることをおすすめします!
コメント
旋盤の仕事を覚える
のワードに違和感がありコメントさせて頂きます。
旋盤士は武士や
と私は教わり、25年になりますが日々勉強です。
大工の仕事も色々ある様に、旋盤の仕事も様々です。
タンカーのエンジンクランク、何百トンプレスの偏心軸等は、時間を掛けて覚えれるものではなく、一種の才能だと思います。
宮大工は一般建築の施工は可能ですが、その逆の一般的な大工が寺等を建てる事は無理な様に、奥深い旋盤の仕事を覚えるのは容易では無いと思います