効率的切削加工の要!送りを上げるにはどうすればいい?

今日の訓練では、最大のコストである「時間」を削減するために、送りを上げるための方法を学びました。

送りはこの式で求める

マシニングセンタにおいて、送りを求める式はこちらです。

F(mm/min)=N(回転/min)×fz(mm/刃)×刃数

基本的なことなので、必ず覚えておきます。

Fを上げるには、刃数か、回転数を上げる必要があることが分かります。

刃数を上げる:エンドミルの刃数を増やして送りを上げる

上記の式から、Fを上げるにはまず刃数を増やすことを考えるべきだということが分かりますね。

しかし、刃数を増やすことは、良いことばかりではありません。

刃数が増えるにしたがって、チップポケットが小さくなっていきます。(OSGの技術資料で図を見ることができます)

チップポケットとは、エンドミル中に切屑を一瞬ためておける空間のこと。

4枚刃と2枚刃のエンドミルを想像していただけると分かると思いますが、刃数が少ない方が、空間が小さくなっていますよね。

チップポケットが小さいと、多量の切りくずが出たときに切屑がオーバーフローし、エンドミルが折れてしまいます。。。

だから、2枚刃は荒加工に使い、4枚刃は仕上げ加工に使うんですね。

 

そのため究極、2枚刃さえあれば、荒加工も仕上げ加工も全てできてしまうんです。2枚刃で送りを半分に遅くすれば、4枚刃と同じ面ができますからね。

ただ、荒加工で使った刃物は傷がついているため、同じ種類の刃物を使う場合でも、仕上げには別のきれいな刃物を使うようにしましょう。

 

ラフィングなら、刃数を増やしても荒加工できる理由

ここで、当然の疑問が生まれてきます。

「ラフィングエンドミルは4枚刃なのに荒加工に使われてるじゃないか」

この理由も教えてもらいました。

ラフィングエンドミルは、ご存じのとおり切削面がギザギザしていますよね。

あのギザギザは、一枚目、二枚目、三枚目、四枚目の刃でそれぞれ別の場所に少しずつズレてついています

通常のエンドミルの刃が、金属面全体に一気にぶつかるところで、ギザギザであるラフィングエンドミルはその半分ほどしかぶつかっていないのです。

だから、少ない抵抗で削っていけるんですね。

 

ラフィングエンドミルは、ここ数年で、かなり進化してきているそうです。

CADCAM技術が発達し、精密な金型を作れるようになったことで、今のラフィングエンドミルのような特殊な形状の刃物が作れるようになったのです。

 

Nを上げる:面取り加工の回転数を上げるためにはこうする!

ここでクイズです。

先端角90度の面取り用エンドミルで、切削速度を変えずに回転数を上げるためには何をすればいいでしょうか?

 

 

・・・答えは、切削点を中心付近に寄せることです。

回転数を求める式はこちら。

N=1000v/πD

この式で、Vを変えられないのであれば、Dを変えるしかないですよね。

より中心付近で切削するようにすれば、切削速度を変えずに回転数を上げることができます。

回転数が上げられれば、送り速度もあげることができ、時短につながりますね。

Nを上げる:切削速度を上げることは、相応のリスクを伴うので慎重に。

想像してみてください。

金属の塊に、歩いて低速でぶつかるのと、走って高速でぶつかるのとでは、どちらの方が痛いですか?

走ってぶつかる方が痛いですね。

これと同じことが刃先にも起こります。だから、切削速度を上げると、刃先へのダメージも大きくなります

同じように、切削速度を上げると摩擦熱も大きくなりますね。

 

切削速度を上げることは、刃物の欠け、消耗両方に影響を与えます。

そして、切削速度と刃先消耗と能率は、以下の関係になります。

V    大―――小

消耗  大―――小

能率  大―――小

 

なんで切削速度が上がれば消耗は大きくなるのか。

それは、熱の発生によります。

刃先は摩擦で熱せられた後、急速に冷やされています。

その温度変化による変形で、刃が消耗していくのです。

 

だから、径が大きく切削速度が大きいため、熱量の大きい正面フライスでは、急速に冷やされるクーラントは出さないんですね。

ただ、鉄鋼材料はクーラントをだしませんが、アルミ材は出す場合があります。

その理由は、アルミは柔らかいので、刃先に材料がくっついてしまうことがあり、それをクーラントの油膜でふせぐためです。

 

 

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