忘れがちなNC旋盤のチャックへののグリス注油。
NC旋盤の説明には”1日おきに補給する”と書いてありますが、なぜそんなに頻繁に補給する必要があるのでしょうか?
爪にガタが発生してくる
油圧チャックはペダルを踏むたびに爪が上下しますよね。
芯が出るように精密油圧チャックは遊びが少ない構造になっています。
しかしグリスが切れてチャック内の摺動部が摩耗すると爪にガタが発生し、それがさらに悪化すると爪を手で持って上下に動かすだけでガタを感じることができるまでになってしまいます。
こうなるとチャック把握の繰り返し精度が低下して芯が振れてしまいますし、爪が遊びの分だけ傾くことになるため把握力が低下、油圧をしっかり上げているのにも関わらずワークが飛んでしまうということにもなりかねません。
NC旋盤のチャックは回転でグリスが飛んでしまう
旋盤のチャックは日常的に高速回転をさせていますよね。
そのような環境下では、チャックの遠心力やクーラントによる洗い流す効果によってだんだんグリスがぬけていってしまいます。
なのでNC旋盤には1日1回のグリス注油が必要と記載されているわけです。
必ずしも1日1回のグリス注油が必要なわけではない
グリスが抜ける原因はチャックの回転とクーラントであるため、当然ですが加工中以外の時間はグリスが抜けているわけではないです。
なので、正確には1日1回ではなく、加工約8時間あたりに1回の注油で十分です。
私の勤務先では単品ものを主に加工しているため、NC旋盤の実稼働時間はそこまで多くはありません。
そのため私は1週間に1回、毎週月曜日にグリスを注油するようにしています。
グリスの使い方はこの動画がわかりやすいです
機械加工とは全く関係ない自動車整備関係の動画になりますが、グリスガンの使い方については全く同じです。
動画内ではグリスの量について、古いグリスが全て出るまでやってもいいというようなことが言われていますが、NC旋盤のチャックにおいては1箇所に1プッシュも注入すれば十分です。
NC旋盤は車関係の器具ほど遊びが多くないためそもそも少量で十分ですし、毎週もしくは毎日給油するのにそれほどのグリス量を入れていたらすぐにグリスがなくなってしまいます。
グリスの補給量が多すぎるのも問題で、切削油にグリスが混ざってしまい、切削油の劣化が早くなってしまいますので気をつけましょう。
ノズルはホース状のものを使う
動画では金属のノズルを使っていますが、チャックへの補給は画像の一番上のもののようなやわらかいホースノズルでないとやりにくいので、そういったものを使うようにします。
グリス補給はついつい忘れがちですが、チャックの寿命をのばす大切な作業なのでしっかり行うようにしましょう!
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