町工場を始めとした、工場の仕事に必ず存在する「納期」。納期を守ることは顧客との信頼関係の基礎であり、これを管理してはじめて仕事が受注可能かどうかや、効率的な作業順序を考えることができます。
本記事では、そんな工場に必須の納期管理について、経営者・管理者目線と、加工担当者目線、2つの立場に分けて最適な管理方法を解説しました。
加工担当者の方はこちらから加工担当者目線の項にジャンプできます。
管理者・経営者目線での納期管理方法は?
まずは管理者・経営者の目線での納期管理方法を解説していきます!
結論から言うと、後半でご説明する加工担当者目線での管理方法とは違い、管理者は必要な機能を備えた中でなるべく安価な管理ソフトでの管理が一番おすすめです。特に日本ツクリダスのエムネットくらうどが頭一つ抜けています。
管理側は、紙やエクセルでの納期管理はNG
まずはじめに、管理者・経営者目線での納期管理にはほぼ管理システムが必須になります。
その理由は、紙やエクセルの管理ではどうしても以下のような問題が起こってしまうためです。
紙・エクセルでの納期管理のデメリット
- 現場の進捗が事務側からは分からないため、納期に関する問い合わせがあった際は現場に確認に行く必要がある
- 紙の図面ベースでの管理のため、図面を探す工数がかかる
- 同様に、図面をなくして納期を見落とすリスクがある
- 納期管理のため、現場で作業時間等を記録する日報が必要になる
- 現場側から全体の納期を把握できないため、担当者ごとの残業のばらつきが発生したり、非効率な加工順序で加工してしまう場合がある
- 過去のデータを探すのに多大な時間がかかる
- 実績がある案件でも見積もりがばらつく
このような、仕組みづくりがきちんとなされていないことによって失う顧客からの信頼や、コストの増加は本当にもったいないです。
これらは、管理ソフトを使うことで全て解決できます。
町工場の納期管理には管理システムがものすごく便利
管理ソフトを使った納期管理は大変便利で、上記のデメリットを全て解決できると言っても良いくらいです。
管理ソフトで納期管理を行うメリット
- ひと目で全仕事の納期の切迫度を確認できる
- スマホやタブレット、PC等どこからでも現場の進捗を確認できるため、顧客からの進捗の問い合わせも現場に確認せずに回答できる。
- 図面をソフト上で管理できるため、図面をなくす心配がなく、また探す時間が必要ない
- 現場では作業開始時と作業終了時にバーコードを読み込むことで、日報が必要なくなる。
- 現場から全体の予定を確認でき、効率的な順序で加工を行うことができる
- 過去のデータも簡単に参照できる
- 実績に基づいた見積もりを短時間で簡単に出すことができる
このように、管理側の負担が大きく軽減されるだけでなく、現場から見ても日報の手間が省けたり、全体の予定を見て個人の加工順序を考えられたりと、会社全体にとってメリットが大きいです。
どの管理ソフトを選べばいいの?
そこで、どの管理ソフトを選べばよいかということを考える必要があります。
結論的にはエムネットくらうどが最もおすすめです。
町工場向け管理ソフト3つを比較
工場、とりわけ町工場にとっては、不必要な機能がなく町工場に最適化された、町工場向けの管理ソフトを選ぶのが良いです。
当サイトでは、町工場向けの管理ソフト3つを比較しています。
3社とも選択肢には入りますが、その中でも抜きん出ているのが日本ツクリダスのエムネットくらうどです。
詳しくは上記比較記事をご覧ください!
エムネットくらうどってどんなシステム?
エムネットくらうどは、簡単に言うと以下の流れで工程や納期の管理表を作り、それをクラウド上に保存できるシステムです。
- まずは納期などの図面情報を入力し、バーコードを出力
- バーコードを図面に貼りつけ
- 加工開始時、加工終了時にバーコードを読み取る
- 仕事全体の進捗管理表が自動的に作成される!
他にも見積もりに活用したり、在庫にバーコードを貼り付けることで図面と紐づけた在庫管理が可能になるなど町工場が求める多くの機能を備えた管理ソフトです。
また、後述するチャット機能をつかえば、案件ごとのやりとりをLINEのように行うことができ、その記録を残しておくことができます。ありそうでなかった、大変便利な機能です。
エムネットくらうどについて詳しくはこちらの公式HPからご覧ください。
エムネットくらうどを実際に活用している様子を、開発・販売元である日本ツクリダスの工場見学で見ることもできます。オンラインでの工場見学も対応できるそうですので、遠方の方も含めて気になる方は一度見てみると自社で活用するイメージがわきやすいかと思います。工場見学の申込みは、こちらの公式HP右上の「資料請求・ご相談」のボタンから工場見学を希望する旨を送信すれば対応してもらえます。
エムネットくらうどに搭載された「チャット機能」が便利!!
エムネットくらうどの機能の中でとりわけ印象的なのが、今年追加された「チャット機能」です。
下画像のように、案件ごとにLINEメッセージのようなチャットを行うことができ、そのやりとりの記録を残しておくことができます。
この案件ごとというのがポイントです。
例えば加工において、図面の指示にない顧客からの要望があればここに記載しておくだけで全員に周知することでき、次に同じ案件が来た際もそのやりとりを参照しながら仕事を進めていくことができます。
本記事のテーマである納期管理においても大変便利な機能です。
例えば前歴から検査に特に時間がかかる案件であったり、外注先の工程に時間がかかる案件ということが分かれば、前回のチャット上でのやりとりを参照することによって、納期に間に合うように早めに仕上げておくといった対策をとることができます。通常のメモであれば、早めにやらなければならない理由が分からなくなったりといった、”なぜ”の部分の記録を残せないことによる問題が起こることが多いですが、チャット機能でやりとり全体を残しておけば、時間がかかる理由までを明確に把握して仕事に活かすことができます。
管理ソフトとチャット機能、ありそうでなかった、本当に便利な是非活用したい機能の一つです。
加工担当者目線での納期管理
町工場の加工担当者は、図面を一通り受け取り、それを納期に間に合うようにこなしていくのが一般的な役割です。
本項では各加工担当者個人が行う納期管理方法について解説しています!
加工担当者は紙の図面と合わせての納期管理が重要
基本的に加工担当者は紙の図面を見ながら加工を行うことになるため、紙の図面と合わせた納期管理が必要になります。
自分のパソコンが用意されているのであればエクセルや管理ソフトを使った納期管理も可能ですが、紙の図面とPC側の両方の管理が必要になってくる上、加工作業の際に手が汚れてしまい、少しパソコンを触るだけなのにいちいち手を洗わなければならなかったりと、紙のみでの納期管理にもメリットがあります。
私の勤務先では、各加工担当は個々人で紙で納期管理を行っています。
納期管理方法①:クリアファイルでの管理
自分の担当する機械が一種類だけの場合、納期のまとまりごとにクリアファイルに図面を分けてボックスに保管しておくのがおすすめです。
この方法で図面を整理する場合は、2~3日ごとの納期のまとまりで図面をクリアファイルにおさめるようにしています。
例えば6月12日、13日の納期で1クリアファイル、14日、15日納期で1クリアファイルといった具合です。
クリアファイルの中に入れた図面は、さらに加工する順に並べるようにすると、上から順に加工していくだけですのでタイムロスなく加工にかかることができます。
納期管理方法②:付箋をつかった納期管理
複数種の機械を担当して加工を行っている場合、単純に納期だけで分類すると、加工に使用する機械が違うにも関わらず同じ分類として図面が混ざってしまいます。
私はNC旋盤とマシニングセンタを両方担当しており、NC旋盤用の図面とマシニングセンタ用の図面を両方管理する必要があります。
なるべくであれば機械の間をいったりきたりせずに同じ分類同士でまとめて加工したいため、使用する機械ごとに別のクリアファイルで管理するようにしています。
一方これではクリアファイルで納期分けができませんので、かわりに付箋をインデックスとして使って分類しています。インデックスシールを使っても良いですが、納期を書き換える手間が発生してしまうため、貼り剥がしが容易な付箋がおすすめです。
分類方法としては、付箋に納期を記載し、納期のまとまりごとにインデックスとして図面に貼っていくだけです。
直接図面に付箋を貼るとやりにくい場合は、紙に付箋を貼ってインデックスシートとして使用するのも良いですね。
付箋は50✕50mmのものが、記載スペースが大きいためおすすめです。
付箋は粘着力が弱いと、油や汚れがついたりすることが多い加工現場では剥がれてしまいがちですので、以下のような強粘着タイプのものがおすすめです。
先程ご紹介した管理ソフトエムネットくらうどには、バーコードシールに客先や納期情報など、主要な項目を10個まで自由に並べ替えて印字できる機能が備わっています。
この機能で必要な情報が入ったシールを図面に貼っておけば、図面ごとの納期・客先がひと目で判断でき、図面を並べ替えて整理するのにも大いに役立ちます。
カレンダーに予定を記載
最後にカレンダーに、納期順に並べた図面の予定完了時間を記載していきます。
そのためには、各図面ごとに完了時間を見積もっておく必要があります。これがまた町工場の仕事の難しいところで、十分な利益が出てかつしっかり間に合う時間を見積もる必要があります。
話が逸れてしまうため具体的なテクニックについては本記事では割愛しますが、見積もりも経験とコツが必要な作業です。
図面ごとに必要な時間を見積もったら、カレンダーに作業予定を記載していきます。
カレンダーはA4ほどで印刷した下画像のような形式のものがおすすめです。
1日を8時間に分け、どの納期の仕事がどこまでかかるかを記載していきましょう。
以下の記載例では、納期が7月5〜6日の図面のまとまりが、7月5日の2時間目で完了し、同様に11〜12日納期の仕事が7月10日の6時間目で完了するというような予定を記載しています。
図面に記載する納期には余裕を持たせておく
予定を組む際の、図面に記載する納期は、顧客に納品する納期の二日前を想定して記載すると良いです。
これは製品の検査と出荷準備に1日を想定しているためです。そうしておけば納期直前のトラブルで顧客に迷惑をかけるリスクを減らすことができます。
パソコンが使える環境にある場合は、エクセルやソフトを使った管理も
先程は手書きでカレンダーに書いて納期の管理をする方法をご紹介しました。ですが、手書きでは書き換える際に時間がかかるという問題があります。直近のスケジュールに仕事が割り込んできた際、その後の予定を全て後ろ倒しに書き直さなければなりません。
書き換えを何度が行っているとどの数字が正しいか自信が持てなくなってきて再計算が必要になるようなこともあります。
そんな問題が起きないのがパソコン等を活用したデジタル管理です。
具体的な方法としては、管理ソフトやエクセルの活用が挙げられます。
個人的な納期管理で、かつ費用をかけたくないのであればエクセルを活用する形でも十分です。
下記のシートのように、マス目に時間を入力(黄色部分)すれば自動的に稼働時間が入力されるような形がおすすめです。
これをカレンダーの代わりにしてガントチャート形式で簡単にスケジュールを管理できます。これなら直近に仕事が入り込んで他の仕事を後ろ倒しにしないといけないような場合も修正が楽になります。
マクロを使わずとも数式だけで実現できるシートですので、興味がある方は活用してみてください。
管理ソフトを活用するなら先程ご紹介したエムネットくらうどがおすすめです。
このソフトを活用すれば、システムに入力された納期をガントチャートに出力することができます。
担当者ごとに仕事を絞り込むこともできますので、これで自分の抱える仕事の納期を把握できます。
もちろん各図面の時間を見積もって間に合うように個人の作業スケジュールを組むことは必要ですが、納期管理の労力やミスは大きく減らすことができるでしょう。
また、作業開始前と完了後にバーコードを読み込むことで個人の仕事の進捗をシステムに入力すれば、全体のスケジュールとして出力されます。個人の進捗を全体に共有できるということです!
会社全体の仕事の流れを把握するのにこれ以上のシステムはありません。
とはいえ、管理ソフトは会社が導入しなければはじまらないことですので、従業員視点、個人レベルとしては先述のような方法で紙やエクセルの管理を効率化させていくしかありませんね。
管理ソフトについて詳しくは、先程管理者向けの項で解説した通りです。
パソコンを頻繁に触るような納期管理の場合、手が汚れがちな加工技術者には、しょっちゅう見るには工夫が必要です。
紙やホワイトボードを使ったアナログな管理と、エムネットくらうどのようなデジタル管理の両方をうまく使えると、より効率的な納期管理が実現できますね。
エムネットくらうどの中でも大変便利な機能である「ガントチャート」が、近々大きくアップグレードされるそうです。
加工者目線でかなり見やすく、使いやすくなるアップグレードと聞いていますので、とても楽しみですね。
何を求めるかによって、必要な納期管理は違う
本記事では、納期管理について筆者の経験を元に解説しました。
管理者の納期管理は管理ソフトを使った方法、個人での納期管理には紙やエクセルでの管理をご紹介させていただきました。
書くまでもないことですが、納期を守るということは製造業の前提であり、信頼の基礎になる大変重要なポイントです。
そしてだからといってお金かけすぎるのも問題で、個人成績や会社全体の収益を損なわないためには時間的コストと金銭的コストを最小化できる選択肢を選ぶことが重要です。
その点において、本記事では私が一番コストパフォーマンスがよいと考えた選択肢をご紹介しています。
特にエムネットくらうどは価格も安く機能が充実しておりおすすめですので、知らなかったという方はぜひこちらの公式HPから詳細をご覧ください。
納期管理を最適化できている自信がない方に、本記事が参考になれば幸いです!
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