マシンバイスやフライス盤・マシニングセンタのテーブル、旋盤の爪、ゲージ類等に油砥石を使っていませんか?
高い精度が要求される面に油砥石を日常的に使っていると、年々精度が落ちていき機械の寿命が短くなってしまいます。
ですがそんな大事な精密面にも細かいバリ取りが必要なこともありますよね。
そんなときに活躍するのがアルカンサス砥石です。
参考:㈱ファーステックhttps://www.firstec.co.jp
アルカンサス砥石って何?
天然のオイルストーン
アルカンサス砥石とはアメリカのアーカンソー州でとれる天然のオイルストーンのことです。
通常の砥石より目が細かいため研磨面を傷めず、それでいて非常に細かいバリ等に対しては十分な研磨力を持つため、バイスやフライスのテーブルなどの精密面に最適な砥石です。
天然石であるため資源は有限と言われ値段が徐々に上がってきており、等級に応じて価格高いものもあれば安いものもあります。
アルカンサス砥石ってどんな場面で役に立つ?
最もアルカンサス砥石を使う場面が多いであろう箇所は、マシニングやフライス盤のテーブルです。
機械のテーブルは少しのバリでも加工精度に影響してしまいますのでバリは完璧にとらなければいけませんが、精密面でもあるため削りすぎはNGです。
それからバイス。
ほんの少しのバリでも製品を掴んだときの直角度・平行度に影響が出てしまいます。
あとはブロックゲージやマイクロメーターなど測定器系です。
できればアルカンサス砥石でさえ使いたくはありませんが、落としてしまったりなどしてバリが出てしまった場合は活躍します。
他には旋盤の爪の端面側の面のバリ取りにも使えますし、金属製品のバリ取りをキズを付けずに行うこともできます。
機械加工を行っていく上では大変便利なものなんです。
アルカンサス砥石の使い方は?
マシンバイスに使うことを例に使い方を説明します。
アルカンサス砥石を使う前にバイスをきれいに掃除
まずはバイスを目視レベルで完璧にきれいに掃除します。
掃除が終わっても、目に見えない小さなバリがバイスには残っている場合があります。
そこでアルカンサス砥石の出番です。
バイスをアルカンサス砥石で軽く撫でる
そんな小さなバリを取るために、アルカンサス砥石を、バイスのワークを掴む面に軽く当てて撫でてやりましょう。
もしバリがあった場合、ほんの少しですが抵抗感を感じるはずです。
バリを見つけたら軽く砥石を往復させ、抵抗感がなくなるまでバリを削ります。
目に見えない程度のバリであれば数往復させたら取れているはずです。
大きいバリ・膨らみがある場合は?
大きいバリ・膨らみがある場合は、その部分だけ油砥石や三角砥石で削り取ってしまう手もあります。
その際は精密面に極力当てないよう注意してください。バリがでている部分以外にマスキングをしておくのも良いでしょう。
まず精密面に目に見えるほどのバリ・キズができてしまっただけでおおごとですが、アルカンサス砥石であれば極力バリ以外は削らずに対処することができます。
大きいバリ・膨らみを取り終えたら、精密面を傷めないようにアルカンサス砥石で根気よくバリを削り取りましょう。
アルカンサス砥石の選び方
アルカンサス砥石を選ぶにあたって主なポイントは大きさ・粗さ・色の3つです。
アルカンサス砥石の大きさは?
こちらはモノタロウのアルカンサス砥石の価格表です。
使用用途にもよりますが、機械加工で使う上では全長75、幅25、暑さ9.5のものが扱いやすいです。
厚さは6mmでも構いませんが、9.5mmのほうが持ちやすく折れにくいです。
アルカンサス砥石の粗さは?
次に選び方のポイントの一つ、粗さについて説明しますね。
基本的にアルカンサス砥石は#6000くらい
アルカンサス砥石に粒度表示は基本的にありません。
その理由はアルカンサス砥石を構成する砥粒の大きさは3〜5μmとほぼ一定だからです。
なので粒度でいうとアルカンサス砥石の粗さは大体#6000くらいになります。
アルカンサス砥石は比重で粗さが分類される
ですが、アルカンサス砥石にも粗さ分類はあります。
ではどのようにして粗さが分けられているかというと、粒の密度(比重)で分けられています。
天然石の砥粒間に比較的すきまが多いのが比較的粗目、砥粒がぎっしり詰まっているものが細目のアルカンサス砥石ということですね。
どのアルカンサス砥石でも砥粒の大きさはそう変わりませんので基本的には精密面に使えます。
ですが、突き詰めると比重の大きいアルカンサス砥石の方がより精密面を傷めずにバリのみを削ることができるので優れていると言えます。
とはいえ、比重の大きいもののほうが高級で価格も上がってしまうためバランスの良いものを選ぶと良いかと思います。
アルカンサス砥石の色の選び方
アルカンサス砥石には、採掘時の岩石によって白・紫・グレー・黒・藍色・ピンク・黄色・茶色・半透明・赤、またはそれが混じり合ったものなど、様々な色があります。
ただ砥石の色は品質に大きく関わってくるものではなく、その等級は比重や組成などで決まってきます。
なので、色に関しては気にする必要はありません。
アルカンサス砥石の成り立ち
アルカンサス砥石(アーカンソー砥石)は、冒頭で述べたとおりアメリカのアーカンソー州で採掘された天然のオイルストーンです。
この地域で見つかるノバキュライトという鉱石は油の浸透に理想的な無数の微孔を持ち、砥石に理想的でした。
そんな鉱石が形成された地層は3億5000万年前のものだそうです。まさに地球が作った油砥石ですね。
この鉱石をヨーロッパの開拓者が見つける前は、アーカンソー州の先住民(アメリカンインディアン)が矢じりやナイフなどを作るために使っていたそうです。
西暦1800年頃にヨーロッパの開拓者に発見されて以降、優れた砥石として現在まで採掘され続けています。
精密面に最適な砥石
アルカンサス砥石は精密な加工治具や機械にに最適な砥石です。
機械加工と天然石、一見すると真逆のような関係なのに相性抜群で面白いですね。
精密仕上げ用の人工油砥石でも代用することは可能ですが、良質なアルカンサス砥石の性能には敵いません。
良質なアルカンサス砥石は所有感もあるため、myアルカンサス砥石を買ってみても面白いかと思います!
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