重畳加工とは?
重畳(ちょうじょう)加工とは・・・文字で説明するより動画を見てもらうのがてっとりばやいです。
一応説明しておくと、NC旋盤における重畳加工とは、1つのタレットで2つのワークを同時に加工することです。
動画を見ていない方はそんなこと可能なのかと思うでしょうが、片側のスピンドルのX,Z軸が動けばタレットの裏側を使って同時加工を行うことができるんです。。。
この重畳加工を使えば、1タレット機であれば擬似的に2タレットに近いサイクルタイムで、2タレット機であれば3タレットに近いサイクルタイムで加工することができます!
どういう仕組み?
1つ目のスピンドルにクランプしてあるワークを削るタレットの動きに合わせて2つ目のスピンドルが動き、適正な送り速度になるように制御する仕組みです。
一番わかり易いのは穴あけのシーン。
左側のワークの穴あけをするためにタレットが動いていますが、そのタレットよりも右側のスピンドルが速く動いているのがわかります。
左側のワークの穴あけはもちろん、右側のワークの穴あけも適正な送り速度になるように、タレットの動きに合わせてスピンドルが速く動いているんです。
どんなメリットがあるの?
1タレットで2工具を同時に使え、2タレットで3工具を同時に使えるため、擬似的にタレットが一つ増えた状態となり、その分サイクルタイムを短縮することができます!
その分プログラムは複雑になりますし、工具の干渉も起きやすくなるため、段取り時間は増えます。
なので、その段取り時間をかけてもサイクルタイムを短くしたいほどの数量がある場合のみに活躍する方法です!
私の勤務先のような単品もの屋には無用の長物ということですね^^;
私が管理人が一番好きなねじ切りのシーン
私が一番好きなシーンです。
このシーン、なんと左右のネジを同時に切っています。
そしてすごいのが、よく見ると左側のねじ切りの早送り中にも右側のねじを切っているんです。
目が回りそうですが、タレット早送り中の右側のねじ切りに注目してみてください。
これでまっすぐねじが切れることに技術力を感じますね。
どんな機械で重畳加工できるの?
重畳加工は、スピンドルがタレットを追いかけないといけない性質上、2つ目のスピンドルのX軸とZ軸両方を動かせる機械である必要があります。
例えば冒頭の動画で使われている機械はシチズンのミヤノBNE51MYYです。
海外のインスタアカウントの動画なのですが、機械は日本製であることに驚きです。
機械の詳細について調べてみました。BNE51MYYは2019年5月に発売したばかりの比較的新しい機械です。
高機能型のため公式サイトには載っていませんでしたので、近いモデルであるBNE51MSYの画像を載せています。
赤い矢印の入った画像を見るとわかるように、右側のスピンドルがX,Zの2軸動かせるようになっています。
この機能によって重畳加工が実現できるんですね。
重畳加工の他の動画
こちらの2つの動画はミーリング機能をしっかりつかって加工しています。
工作機械の開発は、日本が世界に誇る技術の一つですね。
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