ヘッド交換式のボーリングバーは、ヘッドを交換することで多様な形状に対応できること、シャンクを自作することで干渉を気にすることなく適した長さのシャンクを使い分けられるメリットがあります。
そこで本記事では、φ40のツールホルダにセットすることができる比較的大径用のヘッド交換式ボーリングバーの比較をしていきます!
φ40シャンクの比較的大径のものをラインナップしている工具メーカーはサンドビック、京セラの2社。
シャンクに平どりがされていないものも含めるとタンガロイでも見つけましたが、今回はそれほどびびり抑制に重きを置かない場合を想定しているため平どりされているもの限定でご紹介します!
ちなみにφ16の比較的小径の超硬シャンクではイスカルも見つかりました。
今回は紹介しませんが、高価な超硬シャンクのみ使いまわし、ヘッドを交換してコストを抑えるイスカルのアイデアはとてもいいですね!
それでは本題に入り、京セラ・サンドビックの工具をそれぞれ紹介していきます。
京セラのヘッド交換式ボーリングバー
ADバー
京セラからはADバーという防振機構つきのものが販売されています。
ヘッドの種類
ヘッドの種類は5種類。
多少のならい加工に対応するヘッドもありますが、基本は通常の内径加工に対応するかたちになります。
シャンク
シャンクは1種類の防振機構つきのもののみです。
サイズ展開はφ32,φ40、φ50の3種です。
φ40のものだと全長は360。長いですね。
さらにヘッドの長さも加わればさらに長くなってしまいます。これだけ長いと心間500のNC旋盤ではシャンクのカットが必要になりそうです。
とはいえこの長さに防振機構に自信があることがあらわれていますね。
平どりの便利さと防振を両立した扱いやすさ重視のモデルといえます。
とはいえ防振機構なしの通常の鋼シャンクはラインナップされていないため、高価な防振機構付きしか選択肢にないのは選ぶ際に少し窮屈に感じます。
サンドビックのヘッド交換式ボーリングバー
CoroTurn®SL
サンドビックのヘッド交換式ボーリングバーは”CoroTurn®SL”という名称です。
というよりCoroTurn®SLの一つのジャンルとしてボーリングバーがあるかんじです。
世界のサンドビック様はやはりラインナップ種類がすごい。
ヘッドもシャンクもかなりの種類があります。
ヘッドの種類
六種類の穴ぐり用ヘッド6種類があるだけでなく、なんと溝入れ用やねじ切り用のヘッドもラインナップされています。
一本のシャンクでこれほど多様な加工ができるのはサンドビックならではのメリットですね。
シャンク
14Dまで突き出し可能な超高性能防振超硬バーから、平どりされている鋼の通常のシャンクまで多様なものが用意されています。
必要な性能や価格によって選べるので、選択肢が多いのは助かりますね。
今回の目的である通常の鋼シャンクを画像に載せています。
φ40だとシャンク長さは283。 ちょうど良い長さです。
京セラとサンドビックどっちがいい?
この勝負ではほぼ完全にサンドビックの勝ちです。
もちろん目的にもよりますが、サンドビックの工具のほうが選択肢が多く、目的に合わせた選択ができるのでボーリングバーではサンドビックに軍配があがります。
ただカタログでは金額は調べられなかったため、そこを判断材料に加えるとまた評価が変わってくる可能性はあります。
ヘッド交換式ボーリングバーを検討した理由
とある仕事でφ155、深さ215の内径を加工することになりましたが・・・そんなに深くまで加工できるボーリングバーなんて手持ちにない!
・・・ということで深くまで加工できる太めのボーリングバーが必要になりました。
勤務先で使っているLB3000−EX2の内径バイトホルダは最大φ40のため、φ40のバイトを探すことになりました。
とはいえ心間500なので、後ろに25mmほどしか突き出せないことを考慮すると、そんな長いボーリングバーを買っても深さ200前後のの穴ぐりにしか使えず一度使ってお蔵入りになりそう。
そこで一案として、シャンクを自作して付け替えられるヘッド交換式のボーリングバーを検討してみることにしたわけです。
通常のボーリングバーを選んだほうが良い場合がほとんど
本記事で紹介したようにシャンクとヘッドが分離しているタイプは、主に防振機構を持ったシャンクを使い回すためにヘッド交換式になっています。
防振機構が必要ない場合はそもそもヘッド交換式を選ぶメリットが薄いため、メーカーにはほぼラインナップがありません。
防振機構つきのシャンクはかなり高価なため、それを買うくらいであれば長短2種類の鋼ボーリングバーを買ってしまったほうが安いということになってしまいます。
そのため私も一度はヘッド交換式を検討しましたが、結局は京セラの通常のボーリングバーを買うことになりました。
びびりを抑えたい場合は高価な防振バーも検討の価値あり
防振バーに介しては各社かなり魅力的で面白いものを販売しています。
本記事で紹介した京セラのものもその一つです。
また今度防振バーに絞った比較をしていこうと思っています。お楽しみにー!
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