製造業のための生産管理システムには様々なものがあります。その中からおすすめのものをピックアップしたのが前回の記事「生産管理システムのランキングTOP5」です。その中では、ランキング内外合計7つの生産管理システムをご紹介しましたが、今回は「製造業の中小企業」様に向け、特に価格が抑えられており大変小規模な事業者でも導入しやすいものを2つに絞ってご紹介します。
価格が明示されているものから選び、その特徴についても解説しています。
また、記事の最後には「管理システムの選び方のコツ」についても書いています。生産管理システムの座談会にも参加し、情報を得たうえで書いていますので、ご参考にしていただけるかと思います。
ぜひ管理ソフト選びの参考にしてください!
エムネットくらうど(日本ツクリダス㈱)
執筆時点料金:初期費用300,000円、月額利用料50000円/月(税抜)
※詳細は公式ホームページでご確認ください
エムネットくらうどは、月額費用5万円程度で価格が抑えられており大変導入しやすいシステムでありながら、必要な機能が詰め込まれたおすすめできるソフトです。
以下のページで詳しくはご紹介していますが、 その機能は以下の通りです。
- 案件情報検索
- 案件の納期管理
- 工程の登録・管理
- 工程単位の納期管理
- 工程順序の管理・変更
- 図面・画像管理
- 納品(配送)情報の管理
- 素材、購入品の受入管理
- 加工ノウハウの登録
- 検査情報の登録
- 案件ごとのバーコード発行
- バーコードでログイン
さらにはガントチャート機能も利用でき、度重なるアップデートにより、図面ごとのやりとりの記録を残せるチャット機能も実装されています。
このような製品自体のスペックや機能などは公式ホームページに解説をお譲りし、今回は私が実際に触ってみた感想を書いておこうと思います。
この管理システム、当サイト管理人である私自信が展示会で触ったことがあるのですが、大変扱いやすいシステムです。
まず、管理画面が大変見やすいです。下記画像のとおり、仕事が納期順に色分けされているためどれが明日の納期でどれが明後日の納期なのか、視覚的に一目で分かるようになっています。
そして、複数の加工工程があるもの、例えば旋盤→マシニング→溶接→旋盤というような工程のものでも、最終工程の旋盤担当者は溶接が上がってきたことがすぐに把握できるため、作業者目線で大変計画が立てやすいようになっています。
そしておすすめできる最大の特徴が「バーコード」を活用した図面管理や入力のシステムです。事務担当者は、とりあえずバーコードを発行して図面に貼っておけば、情報の入力作業は現場に図面をおろした後で行えるような仕様になっています。
私もバーコードの発行作業を体験しましたが、本当に簡単で、慣れれば複数図面でも30秒もかからないと思います。
入力作業も納期や顧客情報など最低限の情報で良く、これであれば現場との連携スピードも上がり、自社の必要に応じで自由に使える「システムに振り回されない」管理を簡単に実現できると感じました。
システムの自由度が高いため、バーコードを図面ではなく在庫に貼れば、同様の手順で在庫管理も簡単に行うことができます。
そして入力作業にもバーコードを活用することができます。あらかじめ用意したバーコードを読み込むことで入力作業を省くことができ、わざわざ手入力する必要がないと言うメリットがあります。
入力の際にエラーを吐かないなど、システム全体を通して「役に立つものを簡単な作業で実現する」というこだわりが随所に見られ、大変扱いやすいシステムに仕上がっています。
詳しくはこちらの地でも解説していますので詳細の感想を知りたい方はぜひご覧ください。
ものレボ(ものレボ㈱)
執筆時点料金:初期費用0円、月額利用料9700円/人数(税込)
ものレボは、先ほどご紹介したエムネットくらうどの他に、きちんと料金を開示していた唯一のシステムです。
機能の一覧はこちらです。
- 工程管理
- 在庫管理
- 受発注管理
- 分析業務
- 拡張システムとの連携
- 自動化機能(リリース準備中)
このように、分析や受発注管理も含めた多様な機能が搭載されています。
扱いやすく見やすいガントチャートでの工程管理と納期管理を主体としており、エムネットくらうどと同様に良いシステムだと思います。
特におしゃれでスッキリしている今風のUIは、「管理システムは難しい」という誤解を払拭させてくれる大変良いデザインに感じました。
一方で料金は一人当たり9200円に設定されており、通常の規模でしたら初期費用0円ということを差し引いてもエムネットより高額になります。
バーコードを活用した入力補助や情報の呼び出しにも対応しておらず、図面との紐づけや楽な時間入力に関してもエムネットに軍配が上がりそうです。
人数が少ないほど安くなるため、人数が6人以下の工場様でしたら検討の価値があるシステムだと思います。
良いシステムとは感じていますが、過去に利用料金が何度か大きく変わっている経緯があることや、転職口コミ情報サイトでの悪い評判などもあり、少々不安になる点もあります。
導入をご検討の場合は、以下のページから転職口コミサイトの画像を掲載しておりますので、必ず合わせてご覧ください!
惜しくもおすすめ対象外のシステム
本記事では、私がこれまで調査してきた10社以上の管理システムを比較して「エムネットくらうど」と「ものレボ」の2社ピックアップしました。
ですが、他のシステムの中にも惜しくも本記事に掲載する対象外になったソフトがあります。
こちらのソフトの方が合う場合もありえますので、少しだけご紹介しておきます。
鉄人くん
鉄人くんは、生産管理システムのランキングTOP5でも掲載した管理ソフトです。
利用料金は月額5万円〜となっています。
ですが口コミ情報が少なく、初期費用をはじめとした正確な金額が分からなかったところがあり、手放しではおすすめできないと考えて今回は対象外にしています。
以下のように、機能的にはエムネットくらうどやものレボと比較して決して劣らない機能を備えています。
マチカン(株式会社池田製作所)
マチカンは、執筆時点でリリース前の新しい生産管理システムです。
日本ツクリダス社のエムネットくらうどと同様に、自社で業務を行っていくうえで制作した管理システムを他社向けにも販売するという経緯を持っています。
下に掲載しているのは滋賀のローカル局「びわ湖放送」のYouTubeです。現時点で料金が明示されており、「初期費用100万円、月額維持費用1万円」ということでした。
実績や口コミがないため、100万円の初期投資を行うにはリスクが高すぎると思いますので今回はおすすめには入れませんでした。
ですが、発売前段階ですので、もしかしたら口コミ集めのモニターに無料で申し込めるかもしれません。特に滋賀県内の方、ぜひ問い合わせてみることをおすすめします。
自社に合った管理システムを選ぶ
成功のコツは目的に合ったシステムを選ぶこと
最近、生産管理システムのベンダーが5社集まるオンライン座談会に参加しました。そこで多くのベンダーが言っていたのが「自社の目的に合ったシステムを選ぶ」ことです。
私もその点は大変重要だと感じています。生産管理システムはあくまで会社の目的を達成するための手段の一つです。
管理システムを入れること自体を目的にすると失敗することがあるそうで、何百万もする高額なシステムを入れたにもかかわらず、購入したシステムに振り回されて、逆に効率が悪くなったという事例もあるくらいです。
まずは自社が何を解決したいかを明確にしたうえでシステム選びをすることが肝要です。
もし現時点でその目的がはっきりしていない場合も問題ありません。解決するべき課題を管理システムのベンダーの営業から提案を受けることもできるからです。
特に、例えばエムネットくらうどのような自社でも製造を行っているベンダーの意見を聞くことで、改善できる具体的な点と、それが間接的に生み出す利益について提案を受けることができ、強く目的意識を持って導入を進められるはずです。
逆にこういった意見を聞いてもシステムを入れる目的がはっきりしていない場合は、今は入れるときではないかもしれませんね。
管理システムは「納期に遅れないようにする」「生み出す価値と経費を見える化する」「事務から現場工程を見える化する」「紙での事務の時間を減らす」「作業者同士の連携を取りやすくする」など、様々なポテンシャルを持っています。
ぜひ目的を明確にしたうえで、あなたに合ったシステムの導入を検討してみてください。
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