辛口評価!生産管理システムのランキングTOP5!中小企業の現役加工技術者が選定しました。

生産管理システムは本当に数多くあり、選ぶのが難しい商品です。

特に中小企業にとってはシステム選びに失敗すると金額だけでなく大きな時間損失もあるため、自社にとって本当に良いシステムを見極めて選択する必要があります。

本記事では、製造業の中小企業へ向け、現役で製造業に従事する私が生産管理システムのランキングを作りました。

他サイトのランキング等に左右されず、一つひとつのシステムのサービス内容を自分の目で確認したうえで良いと思った生産管理システムを5つ選び出し、ランク付けしています。

この生産管理システム業界、正直にひどいと思ったのが、最も重要なファクターである「金額」が、ほぼ全ての商品で曖昧にしか開示されていない点です。

その分きちんと開示している会社が良い意味で目立つため、そういった点もランキングに反映しています。

私見が強く入った辛口の評価になっていますが、私の正直な感想を盛り込んでいます。システム選びの参考としてぜひご活用下さい。

生産管理システムのランキングTOP5

まずは結論から。ランキングはこちらです。こちらでご紹介しているのは全て、1社でシステムが完結する生産管理システムパッケージになります。

このランク付けになった理由については次項で詳しく解説します。

1位:エムネットくらうど(日本ツクリダス㈱)

公式HPはこちら

金属加工の町工場である日本ツクリダス社が開発し、同社の工場で実際に活用されているシステムです。

内容としては、納期管理、工程管理、加工時間の管理がメインです。工場の状況を見える化できるため、納期に遅れることがなくなる他、加工時間が管理できると原価の算出にも活用でき、一つひとつの仕事の利益も把握することができるようになります。

そしてバーコードを使った簡単さ、導入のしやすさが魅力です。私自身展示会で触って確認しましたが、大変扱いやすい印象でした。

強いて欠点を挙げるなら、他社の高価なシステムと比べて機能が少ない点です。例えば多様な工作機械とシステムを連動させ、全自動でデータに落としこむ・・・といったことはできません。ですが、必要な機能に絞っていることで、それが逆に「使いやすさ」というメリットになっています。

価格・無駄を省いた機能・扱いやすさ、サポート体制と、製造業の中小企業で使うには非の打ち所がなく、「これは流行る」と感じて約3年前に私から社長に声をかけ、当サイトで紹介させてもらっているシステムです。

料金を、オプション含めて公式HPに全て開示している点も非常に信頼できます。

この3年ほどの間に行われた度重なるアップデートでさらにその評価が高まり、文句なしの1位です。

エムネットくらうど公式HPはこちら

2位:ものレボ(ものレボ㈱)

ものレボは、1位でご紹介したエムネットくらうどの他に、きちんと料金を開示していた唯一のシステムです。

扱いやすく見やすいガントチャートでの工程管理と納期管理を主体としており、良いシステムだと思います。

一方で料金は一人当たり9200円に設定されており、通常の規模でしたら初期費用0円ということを差し引いてもエムネットより高額になります。

バーコードを活用した入力補助や情報の呼び出しにも対応しておらず、図面との紐づけや楽な時間入力に関してもエムネットに軍配が上がりそうです。

人数が少ないほど安くなるため、人数が6人以下の工場様でしたら検討の価値があるシステムだと思います。

1点気になったのが、古い情報ですが、転職口コミ情報サイトのこちらの投稿です。

出典:ライトハウス様 https://en-hyouban.com/company/10200629979/
出典:ライトハウス様 https://en-hyouban.com/company/10200629979/

一人の意見ですので鵜呑みにするのも良くないとは思いますが、導入を考える場合、頭には入れておいたほうが良さそうです。

ものレボ公式HPはこちら

3位:Smart F(㈱ネクスタ)

㈱ネクスタ社のスマートFは、工程や納期管理だけでなく、バーコードによる日報記録、原価管理 、在庫管理や製品出荷検査の支援にも対応した、多機能なシステムです。システムでカバーできる範囲が大きいため、比較的大きい規模の中小企業に大変お勧めできるシステムです。

個人的には、エムネットくらうどやものレボで機能が足りないと思ったらコレが一番良いと思っています。

マイナスポイントは、公式ホームページに実際の管理画面の掲載が少ない点です。 多機能で良さそうですが、どの程度使いやすいのか実際に営業に説明に来てもらわないと判断することができません。実際の画面は、使いやすさを判断するための大きな材料になるところですので、掲載がないと自信がないのかなと勘ぐってしまいます。

また、他の多くの会社にも当てはまることですが、料金についても曖昧な記載しかない点に不誠実さを感じざるをえません。

ITトレンド様のサイトに、ミニマムパックの初期費用30万円〜そして月額料金4.8万円〜という記載がありますが、最低料金だけ書いてあっても選ぶ側としては不十分です・・・。規模ごとの現実的な導入事例とその料金を例示してくれていれば誠実さも感じますし選びやすいのですが、そういった記載はありませんでした。

機能の内容からして、導入規模によってこの金額よりもっと高くなる可能性が高いです。企業によって臨機応変にシステム設計を行う必要があるので詳細の金額が書けないのはわかりますが、大体で良いので開示してほしいところですね。

(追記:構成内容にもよると思いますが、1年目の費用が250万円程度だったという口コミ情報を目にしました。不確定な噂程度の情報です。)

社長がキーエンスのトップ営業だった経験がある方で、対応の速さや提案力については期待できます。

色々書きましたが、この機能を持ったシステムの中では最も印象が良く、3位としています。

4位:IB-Mes(㈱ユニフェイス)

こちらは少々毛色の違うシステムです。今までご紹介してきた管理システムが工程管理やの納期管理が主だったのに対しIB-Mesは 自動での稼働管理を主軸にしたシステムになります。

大量生産を行っている業種など、機械の起動・停止を管理することで生産状況がわかるところに向いています。

逆に私の勤務先のように、機械が動いている時間より段取り時間の方が長いような会社では、結局は手入力での管理が必要になるためそのポテンシャルを引き出せないでしょう。

このシステムに会った事業内容の会社がうまく導入できれば、作業員がほとんどシステムに入力業務を行うことなく労務管理や稼働時間管理を行うことができます。

外付けのクランプセンサーなどを活用することで、古い機械でも機械と連携させるシステムを構築でき、端末やバーコードよる入力さえも必要なく、何もせずとも自動的にデータが蓄積されていきます。

一方で納期管理や工程管理のスケジュールとしては機能が充分ではなくそういった機能を求めている場合はこれまで紹介してきたシステムを導入するのが良いでしょう。

公式ホームページに初期費用の記載がなかった点が非常に不安なところですので、しっかりその費用を確認してから導入を検討するようにしましょう。

月額の維持費は(人数+設備数)×8000円/月(税抜き)です。

IB-Mes公式HPはこちら

5位:鉄人くん(㈱ユーティー・ソリューション)

鉄人君くんも、Mnetクラウドやモノレボと同様に工程管理や納期管理を主軸にした生産管理システムです。

これまで紹介してきたサービスと同様に扱いやすそうには感じるのですが、料金の案内が50,000円からとしか記載がなく、通常の構成での月額料金や初期費用がわからないので少し不誠実な印象を受けてしまいました。

バーコードを使った登録作業や図面の管理にも対応していませんので、比較対象の1つとして検討してみるのが良いでしょう。

とは言え、100万円以上する生産管理システムが多い中、 低価格で抑えられていることは間違いなく、必要十分な機能も備えているため、良いシステムといえます。

鉄人くんの公式HPはこちら

ランク外:UM SaaS Cloud(㈱シナプスイノベーション)他

TOP5までのランキングにしたので入れられませんでしたが、UM SaaS Cloudも良いシステムと思いましたのでご紹介しておきます。

こちらのシステムの特徴は、下図にようにシナプスイノベーション社の多様なシステムやオプションと連携させて生産管理の枠を超えて幅広く会社全体を管理できる点です。

ラインナップとしては、主に4つのシステムがあります。

  • UM工程進捗:製造業の工程管理や在庫管理、入出庫管理までできるクラウド型生産管理システム
  • UMガント:立案した生産計画のスケジュールやリソースの負荷分散をガントチャート形式で調整
  • UM販売購買:製造業の受発注業務を在庫情報と連携しながら一元管理
  • UM生産計画AI:生産計画情報をもとに、様々な条件やリードタイムを考慮し生産計画をAIで最適化
引用元:https://www.umsaascloud.jp/price/

それでいて月額料金も4.5万円と手が届きやすいのが印象的でした。ですがその一方で多機能な分だけ料金が開示されていない初期費用の見積額が高額になる可能性があり、ランキングには掲載できませんでした。

多機能な管理システムを使いたい場合はスマートFと比較する形で検討するのが良いでしょう。

追記:2022年6月の情報ですが、初期費用が掲載されていました。

内容としては、基本パッケージに加えて上記の4ソフトで合計90万円〜、そして導入費用で350万円〜。

初年度で合計440万円の費用がかかる計算になります。

引用元はこちらhttps://www.synapse-i.jp/it-hojo-2022-it-tool

導入を検討するのはある程度規模の大きい会社様になりそうです。

ランキングの理由

生産管理ソフトを選定するにあたって私が重視したのが、製造業の小規模中小企業で実際に活用することができるかという点と、コストパフォーマンスです。

その点を比較するために、以下の条件に合うシステムに絞りました。

・月額10万円以内

・初期費用が100万円未満

金額を詳しく調べると初期費用も含めて100万円以内で収まるのは5システムしかなく、その中でランク付けを行いました。

様々な生産管理システムがある中、初期費用が100万円以下で収まるものは少なかったです。

ランク付けで特に重視したのは、

①システムの内容が具体的に見えて、活用のイメージがわくかどうか

②誠実な価格公開ができているか

③機能と価格のバランス

以上の3点です。

①の活用イメージについては、導入して複数人に操作してもらうにあたって難しい操作など必要ないかという点を重視しました。

②の価格公開ができている会社がほとんどないのが驚いたところで、きちんと実施できているのがエムネットくらうどとものレボだけでしたので、この2つのシステムの印象は大変良かったです。

生産管理システムにはオーダーメイドな部分があるものも多いため価格を掲載しにくいのはわかりますが、具体例を挙げてその場合の金額を明示してくれないと選ぶ方は困りますね。この業界の悪いところと感じました。

これらを考慮してランク付けしたのが上記の結果になります。

エムネットくらうどについてはこれまでも以下のようにご紹介をしており、良く知っているシステムですので安心して1位に設定しています。

とはいえどの会社にとっても必ずこれが良い!というものはなく、会社の規模や求める機能によってどれも良いシステムだと思います。

ぜひ本記事を参考にして、貴社に合ったシステムを見つけて下さい。

追記:生産管理システムの選び方のコツ

先日、「生産管理系システム「ぶっちゃけ何が違う!?」 中小製造業向けシステムベンダー座談会」という、エムネットくらうどの日本ツクリダス様、ものレボ様含む5社の生産管理システムベンダーが集まったオンライン座談会を視聴しました。

その際に「様々な生産管理システムがある中で、どうやって自社にあったものを選べばよいですか?」という議題があり、その中で話されていたことを共有します。

システムを導入している他社を見に行く

「導入している同業他社を見に行く」という方法です。実際に費用対効果に満足しているかということを、生の意見として聞けるので大変参考になるのは間違いありませんね。その上仕事のつながりを得られ、一石二鳥の方法です。

自社の課題・困りごとを明確に認識し、それを解決するシステムを選ぶ

もう一点、重要なのが「自社の課題を正しく認識して、それを解決できるシステムを選ぶ」ということでした。

ただなんとなくシステムを入れれば効率化するだろう・・・では上手くいかいないということです。例えば「納期遅れをなくしたい」「日報を正確に・楽に集計したい」など、自社のシステム導入の目的を明確にして、それを得意とするシステムを選択するというのが大切ということでした。

総括:生産管理システムのランキングTOP5の概要

  1. 生産管理システムは数が多く選定は難しい。
  2. 製造業向けにランキングを作成し、サービス内容を詳細に確認、比較した。
  3. 金額の不透明さが生産管理システム業界の課題。ランキングにはこの点も反映している。
  4. ランキングTOP5は、1位から順にエムネットくらうど、ものレボ、Smart F、IB-Mes、鉄人くん。
  5. エムネットくらうどが1位。納期管理、工程管理、加工時間管理がメインのシステム。多くの町工場で実際に活用され、価格を含めて詳細に公開している。
  6. ものレボは料金を明確に公開しているが、バーコードや情報の呼び出しに対応しておらず、一部の意見に注意が必要。
  7. Smart Fは多機能で、比較的人数の多い中小企業向けにお勧め。ただし、料金や実際の管理画面の公開が不足している。
  8. IB-Mesは自動での稼働管理が主軸。大量生産向けであり、ランク入りした他のシステムとは異なるアプローチのシステム。
  9. 鉄人くんは料金が50,000円〜としかしか記載されていない。バーコードや図面の管理には対応していないが、十分な機能を備えている。

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