「芯出し」という言葉は、一口に言っても様々な意味で使われます。
ですが、基本的には「振れ・ゆがみ・ズレなどを直す作業」のことをいいます。
本記事では、その芯出しについて詳しく解説しました!
芯出しとは? どんな作業をするの?
芯出しとは「振れ・ゆがみ・ズレなどを直す作業」のことです。
では、芯出しとは具体的にどのような作業なのでしょうか?
実は、その内容は芯を出す対象や、どの部分の芯を出したいかによって大きく変わってきます。
一口に芯出しといっても様々な作業があるんです!
本記事では、一例として私の身近な「芯出し作業」をご紹介します!
旋盤における芯出し
工作物を回転させ、刃物をあてて「ろくろ」の要領で削る加工機械である「旋盤」。
私が最も得意としている機械です。
おそらく、加工機械において最も「芯出し」という言葉が使われるのが旋盤かと思います。
旋盤における芯出しとは、振れを抑える作業のことです。
左図のように材料を回転させた際、振れが発生する場合があります。
その振れを抑えると右図のように振動なく回転します。
これが旋盤における芯出しです。
旋盤の芯出しについて詳細なやり方はこちらで解説しています!
旋盤の芯出しに使われる道具
旋盤の芯出しには、トースカンとダイヤルゲージが使われます。
トースカンは大まかな芯出しをするためのもの、ダイヤルゲージは0.01mm台の細かい芯出しをする際に使われます。
フライス盤・マシニングセンタにおける芯出し
フライス盤やマシニングセンタにおける芯出しは、「平行・垂直・平面」を出す作業のことです。
バイスにワーク(材料)をつかんだ際に、まっすぐつかめていない場合があります。
その際に平行や垂直、平面を出す作業のことを芯出しと呼びます。
芯出しの方法としては、ワークにダイヤルゲージを当てた状態で、プラスチックハンマーでたたき、0.01mm台の調整を行います。
この作業があってこそ、高精度な機械部品が出来上がるんです。
マシニングセンタ・フライス盤の芯出しに使われる道具
使われる道具は、旋盤と同様にダイヤルゲージが主です。
ただ、私の勤務先では旋盤用のものとダイヤルゲージホルダの種類を変えています。
マシニングセンタ用で使っているのは下図のようなホルダです。
旋盤のものは2軸なので一点可動のジョイントで問題ありませんが、マシニング・フライス盤では3軸のため、可動箇所が3箇所ある下図のようなホルダのほうが便利に使えます。
その他の工作機械にも「芯出し」がある!
工作機械は、旋盤とフライス盤だけではありません。
例えば研削盤、刃切り盤、ローレット機、シェーパーなど、他にもまだまだあります。
「芯出し」は、こういった様々な工作機械において切り離せない言葉です。
作業内容は様々ですが、基本的に、振れや歪み、ズレを直す作業になります。
ほかにもこんな「芯出し」がある!
機械のレベル出しを意味する「芯出し」
芯出しは、加工機上のものだけではありません。
たとえば、機械を移動させた際などに、機械全体のゆがみや水平をあわせますが(レベル出し)、この作業も「芯出し」と呼ばれることがあります。
例えば汎用旋盤の場合だと、横送り台の上に水平器を設置し、送り台を左右に動かしながら足の高さを調節し、レベルを合わせます。 こういった作業も「芯出し」の一つです。
方法こそ様々ですが、汎用旋盤だけでなく、マシニングセンタなどその他の工作機械にも当然こういった芯出し作業は必須になります。
組付けで使われる「芯出し」
工作機械に限らず、機械の組付けの現場でも「芯出し」という言葉は使われるそうです。
例えば2つの部品を連結し、調整するとき。
例えば機械構造によっては、2つの部品をぴったり1直線状に配置した上、さらに平面同士が一切の隙間なく連結されてこそ本来の性能を発揮できるものがあります。
そういった高精度の組付け作業も「芯出し」作業の一つです。
全く違った作業に感じるかも知れませんが、広義での垂直、平行出しですね。
「芯出し」には様々な作業がある!
いかがでしたでしょうか?
「芯出し」一つの言葉でこれだけの作業があることに、意外に思った方も多いのではないでしょうか?
様々な作業内容の「芯出し」がありますが、どれも「ズレ・ゆがみ・振れ」を直す作業です。
高精度の芯出しはどれも職人技で、一朝一夕で身につくものではありません。
高性能な部品・機械は、精密な「芯出し」あってこそ成り立っているものなんです。
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