勤務先でウワサを耳にしたのがきっかけなのですが、なかなかすごい製品を見つけましたのでご紹介します。
11月追記:勤務先で買ってもらいました!実際に使ってみた感想は下の方に書いています。
「マグネシウムボーリングバースリーブ」です。
動画のように、内径バイトの取り付け時に普段のスリーブの代わりにコレを使うだけでかなりびびりを抑える事ができます。
マグネシウムは振動を吸収する性質を持った金属
マグネシウムは、振動を吸収し、そのエネルギーを熱エネルギーに変えて放出する性質を持った金属です。
この素材をスリーブに使うことによって内径バイトのびびりを抑えています。
マグネシウムは他にもアルミより軽い、アルミより削りやすい、温度変化での変形が少ない、耐くぼみ性に優れるという特徴を持っているそうです。
上のグラフは同一条件でスリーブのみ替えた場合の内径加工の振動の比較です。
明らかにマグネシウムスリーブの方が波形が小さく、びびりが抑えられているのがわかりますね。
チップが長持ちするなど様々な副次的メリットが
びびりが抑えられるため刃先への負荷が減り、チップの摩耗を抑えることができます。
他にもびびらない分切削速度を上げられるため加工時間の短縮につながりますし、当然ですが公差にも入れやすくなります。
気になる価格は?
マグネシウム、価格は落ちてきているようですが、まだまだ高価な材料です。
モノタロウでも販売していたのですが、外径φ32のもので3万円と、鋼製のものと比べて2倍以上の値段です。
NC旋盤で使われることの多い外径φ40のものだとさらに価格も上がるでしょう。
寸法表はこちら
こちらがスリーブの寸法表です。
径が大きいものは少し物足りませんが、φ40、φ32と基本的なものは揃っていますね。
はっきりと効果を実感できるらしい
Webで使った人のブログ等を見てみても、はっきりとびびり抑制の効果を実感できるようです。
私の勤務先でも導入する可能性がありますので、もし購入したらまた追記しますね。
11月追記:実際に使ってみての感想
ついに勤務先でボーリングバースリーブを買ってもらいました!
その感想を書いていきます。
軽い!
マグネシウムの「アルミより軽い」は本当でした。持った感じもかなり軽いです。
硬い材質ではないため変形しないように注意して扱う必要がありそうです。
びびり抑制効果は間違いなくある
実際に使ってみてびびり抑制効果は確かに実感することができました。
φ16の超硬のボーリングバーを使い、突き出し長さ110mm(6.9L/D)でV140m/min、f0.1mm/revで加工してみましたが、びびらずに加工することができました。
普段であればびびる条件でしたので、効果は感じることができました。
要注意!マグネシウムスリーブの重大な欠点を発見!!
マグネシウムスリーブには使ってみないと分からない重大な欠点がありました。
それは、NC旋盤内のクーラントが付着したままの状態にしていると容易に腐食してしまうこと。
私が使っているクーラントは、オークマが推奨しているタイユのハイチップNC-11で、濃度も適切に管理して使っています。
ボーリングバースリーブを使ったままの状態でタレットにつけっぱなしにし、一晩置いて翌日見てみると、スリーブ本体にかなりの白サビが浮いており、腐食している様子でした。
使用した場合はすぐにクーラントを拭き取り、乾いた状態で保管しておかなければならない製品ですので、注意して使用するようにしましょう。
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