旋盤では、例えば0~+0.005のような、公差範囲0.005以内の大変厳しい公差を加工しなければならないことがあります。
こういった厳しい公差を加工する際のポイントを、φ8(0~+0.005)外径加工を例に解説します。
正確に測定できる測定器を用意する
まずは、0.001mm台の測定が可能な測定器を用意しなければなりません。
通常のマイクロメータでも不可能ではありませんが、目盛りの十分の一の値まで正確に読み取らなければならないため測定が難しいです。
そのためデジタルのマイクロメータを使うことをおすすめします。
デジタルであれば0.001㎜単位で目盛りが表示されるため、簡単に測定値を読み取ることができます。
測定器を校正する
マイクロメータの校正は、今回のように正確な測定が必要な加工を行う場合は必ず行いましょう。
マイクロメータの掃除をしっかり行い、誤差は0.001mm以内に収める気持ちで、丁寧に校正しましょう。
相手先の測定環境を把握し、その環境で公差に入るように加工を行う
公差範囲が0.005㎜となると、温度の変化で寸法が動いて簡単に公差を外してしまいます。
温度の変化でどのくらい金属の寸法が動くのかについてはこちらの記事でまとめています
鉄でしたら100㎜で10℃変化したときに0.012mm寸法が動くので、例えばφ30であれば、10℃で0.003mm動きます。
これでは今回のように厳しい公差では測定環境の温度が違うだけで簡単に公差を外れますよね。
なので、納品先の測定環境や組付け環境、機械の動作環境などを確認し、どの温度で寸法が出るように加工すればよいのか確認を取っておきましょう。
特に指示がなければ、20℃が国際規格での標準温度になっていますので、20℃で寸法が出るように加工を行えば大丈夫です。
スコッチで仕上げる
旋盤という機械の性質上、バイトの芯高が完璧に合っていないと入れた寸法通りには削れません。
芯高のズレによって寸法は通常はプラスめになりますが、様々な要因で公差の真ん中を狙た結果、マイナスさせてしまって不良になるということも十分あり得ます。
そのため、仕上げたい寸法の+0.005mmほどを狙って仕上げ、スコッチで磨いて公差に入れることをおすすめします。
当然ですが、スコッチ磨き作業は絶対に軍手をつけて行わないようにしましょう。巻き込まれます。
ここで注意してほしいのが、スコッチで磨くだけでも温度が上がってしまうことです。
スコッチで磨いた後はクーラントで冷やしてから測定を行うようにしましょう。
これで間違いなく公差に入れることができます。
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