製造業にこそガントチャート!活用法とおすすめツールは?

中小製造業の現場では、複数の工程が同時並行で進み、人・機械・外注工程が絡み合う中で、いかにスムーズに生産を進め、納期を守るかが常に課題となります。

そんな中で注目されているのが、「ガントチャート」を活用した工程管理です。

「工程が見える」「進捗が把握できる」「段取りが組みやすい」──そんな現場の“悩みどころ”をシンプルに解消できるのが、ガントチャートの魅力です。

私自身も、中小の機械加工工場で日々ガントチャートを使いながら、生産計画や納期調整に向き合っています。その中で実感したことは、「使いこなせば、かなり現場の力になる」ということ。

この記事では、製造業とガントチャートの相性が良い理由から、実際の活用方法、導入におすすめのツールまで、現場経験者の視点でわかりやすく紹介していきます。

「ガントチャートって何?」「うちの工場でも使えるの?」という方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。

(本記事にはPRを含みます)

ガントチャートとは?製造業との相性が抜群な理由

ガントチャートの基本構造と仕組みをわかりやすく解説

ガントチャートとは、「いつ・どの作業を・誰がやるのか」をひと目でわかるようにした、横棒形式の工程管理表です。縦軸にタスク(工程)、横軸に時間を取り、作業の開始日から終了日までを横棒で可視化します。

ガントチャートに含まれる要素はツールによって様々ですが、主なものは以下の通りです。

  • タスク(工程)
  • スケジュール(開始日・終了日)
  • 担当者(リソース)
  • 進捗率
  • 依存関係(前の作業が終わらないと次に進めない工程など)

もともとは20世紀初頭、アメリカの技術者ヘンリー・ガントによって開発されたもので、製造工程や建設現場などの進捗管理を目的に広まりました。

シンプルな図式でありながら、「今、どの作業が進んでいるか」「どこに遅れが出ているか」が一目瞭然のため、今でも多くの現場で活用されています。

私が働く機械加工の現場でも、各案件の加工工程を見える化し、納期や段取りを管理する上でガントチャートは欠かせない存在です。

なぜ製造業での工程管理にガントチャートが有効なのか?

製造業の現場では、複数の加工工程や人・機械・外注などが関わるため、「いつ・誰が・どの順番で・何をするか」を明確にしておくことが非常に重要です。

ガントチャートはその全体像を、以下のように可視化してくれるので大変便利です。

  •  工程の重なりや並列処理の判断がしやすくなる→ どこで段取り替えを入れるべきか、前倒しできる工程はあるかを判断可能。
  •  全体の進捗を俯瞰できる→ 遅延が出ている工程や、納期に間に合わないリスクを早期に発見できる。
  •  チーム全体で情報を共有しやすい→ 製造部門、営業、外注先との連携や調整にも。

たとえば、私が働いている町工場の現場では、自身による前加工→後加工(フライスや焼入れ)→仕上げ加工までの工程を各人のガントチャートで可視化しており、それをさらに一つのカレンダーに簡略化して集約することで「今どこまで予定が詰まっているか」が現場・事務所・経営者と、すべての関係者で共有できるようになっています。

また、進捗が遅れている工程には赤色をつけるなど、色分けの工夫をすることで、視覚的にも非常にわかりやすくなります。

製造業のような工程数が多く、納期管理が命ともいえる業界にとって、ガントチャートはまさに段取り力を最大化するツールといえるでしょう。

製造業の現場でのガントチャート活用法

進捗・工程・生産計画が一目でわかるメリット

私は中小企業の機械加工現場で働いていますが、実際にガントチャートを使うようになってから、生産計画の立案や進捗確認が大きく変わりました。

とにかく便利なのは、すべての案件が“どこまで進んでいるか”を一覧で見られることです。

  • 加工が終わっている案件
  • 今ちょうど稼働中の工程
  • これから加工に入る案件
  • 遅れが出そうなタスク

これらを一つの画面で把握できるのが、ガントチャートの最大の利点です。特に私たちのような多品種少量生産を行う現場では、段取り替えの作業が頻繁に発生します。

その際、ガントチャートがあると「どの順番でどの図面を加工するべきか」「外注に出すタイミングはいつが最適か」などの判断がとてもスムーズになります。

また、同僚と工程の共有がしやすくなり、「この図面、明後日なら手伝えるよ」などと声をかけやすくなったのも実感しています。共有が進むことで、納期に対する意識も全体的に高まりました。

使って感じた注意点と運用のコツ(エクセルの限界も)

一方で、ガントチャートにも気をつけるべきポイントがいくつかあります。

まず最初に感じたのは、エクセルで自作したガントチャートは意外と手間がかかるということ。私の勤務先でも最初に導入を検討しましたが、無料で始められる魅力がある一方で、タスクが多くなると更新が追いつかなくなり、「誰が・何を・いつまでに」という情報を毎回手入力するのは労力がかかりすぎてリターンと釣り合っていません。

また、エクセルでは依存関係の管理や進捗の自動反映ができないため、手動ミスが起こると全体に影響が出てしまいます。私も過去に、一つの工程を前倒しにしたつもりが予定表への反映を忘れてトラブルになったことがありました。エクセル管理ではこのようなミスが起こりやすいと感じています。

そのため、以下のような運用の工夫が必要です:

  • タスクをあらかじめ整理し、稼働時期で分解してから入力する
  • 色分けやラベルなどで視認性を高める
  • 更新は毎日、少なくとも週に1回は行う
  • できればエクセルよりも町工場専用システムのガントチャートを使う

実際、クラウド型のガントチャートツール(エムネットくらうど)を触ってみて、手間もミスも確かに減るということが体感できました。現在は手書きのガントチャートに落ち着いている状態ですが、クラウド型のツールを使えば進捗は自動で反映され、依存関係のズレも即座に分かるため、現場にいながらでもリアルタイムで状況を把握できます。そのため、可能であればこちらを使ったほうが手間が減るということは間違いないと私自身強く感じています。

中小製造業におすすめのガントチャートツール5選

本項では、選択肢となるツールをご紹介します。

下部にランキング形式での比較表と、比較記事も掲載していますので、ぜひツール選びの参考にご活用ください。

クラウド型で使いやすい!おすすめツールの特徴比較

製造業の現場では、工程や進捗を“見える化”するツールとして、ガントチャートは欠かせません。とはいえ、エクセルベースでは限界があるため、クラウド型の専用ツールを使うことで効率化が進みます。

以下、私が調べたり実際に使ったりした中で、中小製造業に合った代表的なツールをご紹介します。

エムネットくらうど

エムネットくらうどは、私も実際に使用したツールですので自信を持って言えますが、町工場のような中小製造業にとって非常に使いやすいガントチャート機能を備えています。

工程ごとの納期の切迫度を色分け表示で一目で把握でき、誰がどの工程を担当しているかも明確になります。町工場専用というだけあって大変扱いやすく、進捗確認や納期管理の手間を大幅に減らせる良いシステムです。初期費用や月額料金も抑えられており、コスト面でも導入しやすいツールです。

iPadやiPhoneにも対応しており、外出時でも現場の状況をリアルタイムで確認できます。また、バーコードを読み取るだけで工程情報が表示されるなど、現場目線で設計されている点も大きな魅力です。

(執筆時点の料金:初期費用36万円、システム利用料5万円/月、ガントチャートオプション1万円/月)

料金は改定の可能性があります。最新の料金は公式HPからご覧ください →公式HPで料金詳細を見る

SmartF(スマートエフ)

クラウド型生産管理システムのひとつで、ガントチャートによる工程管理が特長です。バーコード入力に対応しており、現場での入力も簡単。進捗・納期・作業内容を一括管理できます。

多機能な生産プロセス管理を1つに集約したい企業向けです。月額4.8万円〜と導入しやすいように見えますが、導入事例の口コミでは初年度250万と、構成によってコストが高くなる点に注意です。

(最低構成:初期費用50万円〜、月額費用4.8万〜、 構成ー例:初年度250万円)

FUSE

工程ごとの納期や遅延状況を色分け表示してくれるガントチャートが特徴です。設備や担当者の稼働状況も負荷表示で一目で把握でき、ボトルネックの早期発見に役立ちます。システム全体として機能数が多く、セミオーダー方式で必要な機能を組み合わせる契約形態です。

以下リンクを参照のとおりですが、ガントチャートの良さを活かそうと思うと初年度100万を切ることは難しそうで、コストは高くなりやすいでしょう。

(料金:機能ごとの料金 詳しくは公式HPの料金掲載ページを参照https://www.nck-tky.co.jp/business/64?info=price#tab

UM SaaS Cloud(UMガント)

生産進行とリソース稼働状況を同時に可視化するハイブリッド表示が魅力。

直感的にドラッグ&ドロップでスケジュールを調整でき、現場の細かい変化にも柔軟に対応できます。表示単位も「分」から「年」まで自由に切り替え可能です。

コストは個別見積もりのため不明ですが、口コミの構成例から高めのイメージです。

(導入費用:個別見積もり ライセンス費用:月額5万円〜 、構成例:4ソフトで初年度440万円 https://www.umsaascloud.jp/price/

ものレボ

ガントチャートに特化したクラウド型の工程・在庫・受発注管理ツール。

ガントチャートはカラフルでデザイン性が高く、機能としても段取り時間や担当者の情報まで細かく反映可能です。ラインや人員の割り当てもパズル感覚で操作できます。

初期費用が無料で、1名あたり月額9,200円という導入しやすさも大きな魅力。

(初期費用0円 1人につき月額9200円 https://monorevo.jp/price/

↓記事で記載していますが、ものレボには気になる口コミもありましたので、導入される方は目を通しておくことをおすすめします。

また、同記事には以下の比較表に掲載したシステムをランキング形式で掲載しています。ぜひ合わせてご覧ください!

iPad・iPhone対応ツールで、現場管理をさらに効率化!

町工場をはじめとした中小企業の工場では、パソコンを現場や営業先に持ち出せないケースも多くあります。そこで重要になるのが、スマホやタブレットから操作できること

iPad・iPhoneに対応したクラウド型ガントチャートツールを選べば、現場でも営業先でも同じ情報をリアルタイムで確認できます。特に以下のようなニーズがある場合に有効です。

  • 外出先からも工場の状況を把握したい
  • 進捗確認のたびに事務所に戻る手間を省きたい
  • 納期や工程の遅れをすぐに察知して指示を出したい

たとえば、「エムネットくらうど」や「ものレボ」、「SmartF(一部機能)」などはスマホやタブレット対応を前提に設計されています。

エムネットくらうどが中小製造業に特におすすめな理由

私が特におすすめしたいのは「エムネットくらうど(M:net)」です。実際に現場でこのシステムを使ってみて、以下のような点に強みを感じました。

  • iPad・iPhoneからでも使える:営業先など、外出時の工程確認が簡単。
  • バーコード操作が中心:図面に貼られたバーコードを読み取るだけで、案件の進捗が表示され、日報登録もラクに行えます。
  • 町工場目線で作られている:無駄な機能を省き、必要な情報だけが見えるシンプルなUI設計。
  • 初期費用と月額がリーズナブル:初期費用・ランニングコストが安く、他ツールと比較しても導入しやすい料金体系です。

また、外注状況や工程ごとの担当者の動きも把握しやすく、納期遅れや工程の混乱を防ぐうえで非常に効果的です。

私自身が実際に使ってみても「探し物が減った」「電話確認が減った」「全体のムダが見えるようになった」といった声があるのが納得の内容で、町工場の業務効率を無理なく上げることができるシステムです。

エムネットくらうど公式HP

エムネットくらうどのガントチャート機能が大幅アップデート

記事公開時点でのアップデートで、エムネットくらうどのガントチャート機能が大幅にアップデートしました!

大変使いやすいアップデートで、会社によってはほぼガントチャート画面だけで運用することも可能なほど便利に進化しています。

ここでは、具体的なアップデート内容を簡単にご紹介します。

より直感的で効率的な操作へ進化

工程バーには新しい色分けルールが導入され、グレー=完了、青=進行中、赤=未開始と一目で状況を把握できるようになっています。
工程バーの色はユーザー自身が任意で変更できるため、プロジェクトや担当ごとに自由にカスタマイズ可能です。例えば案件の緊急度ごとに色を分けておけば、取り掛かる優先順位をつける参考になりますし、遅れがちな外注先を色分けしておけば、忘れずに納期遅れの対策ができます。

ガントチャート画面上で完結する案件管理

これまでは別画面で行っていた案件の新規作成が、ガントチャート画面上から直接可能になりました。さらに、工程バーをクリックするだけで作業の開始・終了を登録できるようになり、ほとんどの日常作業がこのガントチャート画面から完結させられるようになりました。

ガントチャート画面からもチャット機能が使える!

さらに、ガントチャート画面からチャット機能を利用できるようになり、画面遷移することなくメンバーとのやり取りがスムーズに行えます。

このチャット機能が本当に便利で、例えば下画像のように、センタリング工程で「一本全長が0.2短いものが混じっています。印をつけておきました。」と記載しておけば、次の旋盤工程でその情報を見て加工に入ることができます。

まとめ|製造業の現場にガントチャートを導入する価値とは

製造業の現場は、納期、進捗、工程、リソース、外注管理など、同時に把握しなければならない情報が非常に多く、それらを“頭の中”だけで管理するのは限界があります。

そこで、ガントチャートを導入することで「見える化」された工程管理が可能になり、現場の混乱や納期遅れを防ぐだけでなく、生産性や業務効率の向上にもつながります。

特に町工場、中小製造業では、エクセルでの運用に限界を感じたり、現場と事務所の情報共有に課題を抱えていたりするケースが多く見られます。私の現場でも、あと一人でも人数が増えれば手書きのガントチャートは限界を迎えると思います。そうした現場にこそ、エムネットくらうどのようなクラウド型のガントチャートツールが効果を発揮します。

iPadやiPhoneで操作できる直感的なUIのツールや、バーコードで簡単に日報を入力できるシステムなど、“現場で使えるツール”を選ぶことで、導入後すぐに効果を実感できるはずです。

私自身、ガントチャートを導入したことで、「進捗が見える」「全員で共有できる」「段取りの移行がスムーズになる」という変化を実感しました。

「ガントチャートは難しそう」「うちの規模では無理」と感じている方にこそ、一度試してみてほしいツールです。

ぜひ、あなたの現場にも導入してみてください。

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