多くの企業で取り組まれている「デジタル化」。業務の効率化や生産性向上を目指して推進される一方で、「どこから手をつければいいのか」「すべてをデジタルにするのは難しい」といった悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そんな悩みを解決するためのヒントが詰まっているのが、『デジタルとアナログを融合し、仕事の効率化を目指す本』(日本ツクリダス株式会社 代表取締役 角野嘉一 著)です。本書は、「ちょうどいいデジタル化」をキーワードに、無理なく実践できる方法を提案しています。役立つ内容はもちろん、親しみやすい漫画も添えられている、とても読みやすい本です。
この記事では、本書を基に「デジタル化の進め方」を解説し、実践例をご紹介するとともに、中小企業やデジタル化の初心者でも取り組みやすい方法が豊富に掲載されているこの本の魅力をお伝えしていきます!
書籍紹介:『デジタルとアナログを融合し、仕事の効率化を目指す本』(角野嘉一 著)
「デジタルとアナログを融合し、仕事の効率化を目指す本」この書籍は、当サイトでも以前から取り上げているDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む町工場「日本ツクリダス社」代表取締役の角野嘉一氏が、自身の経験をもとに執筆した一冊です。
著者自身が自社の町工場をDX化した実体験を踏まえて書かれているため、非常に実用的で現場に即した内容となっています。
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デジタル化を無理なく進めるための第一歩とは?
デジタル化というと、何百万とするシステムを導入するようなことをイメージしてしまいませんか?
本書では、まずは簡単なデジタル化から始めることがすすめられており、手軽な無料ツールを使って無理なく効率化を進める方法が紹介されています。冒頭では、以下の例が取り上げられています。
無料ツールでもOK。デジタル化は簡単に始められる
デジタル化を始める第一歩として、以下のような無料かつシンプルなツールを活用する方法があります。
- カメラアプリ
紙の資料や名刺をスマホで撮影するだけで簡単にデジタル化が可能です。物理的な資料を探したり、管理する手間が省け、必要な情報にすぐアクセスできます。 - Dropboxなどのクラウドツール
撮影したデータをDropboxに保存すれば、場所を問わずどこからでもアクセス可能に。チームメンバーとも簡単に共有でき、情報伝達のスピードが格段に向上します。 - Googleスプレッドシート
タスクやプロジェクトの進捗管理にはスプレッドシートが便利です。複数人で同時に編集できるため、リアルタイムで情報を更新し共有でき、紙の一覧表よりもはるかに効率的です。
DXのハードルは高くない
簡単な取り組みで、肩肘張らずともこれならばデジタル化を進めていけそうな気がしてきますよね。その一方で、当サイト管理人である私の勤務先を含め、多くの企業がまだ活用しきれていないのも事実です。
本書が伝えるのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)は決してハードルの高いものではないということです。そのことが分かったところで、本書で紹介されているデジタル化を進めるアプローチについて見ていきましょう!
アナログを活かしながら進める「ちょうどいいデジタル化」
本項では、デジタル化の進め方について、本書に沿って解説してきます。
デジタルとアナログの両方に良さがある
デジタル化を進めるにあたって、まずは何をデジタル化するかを考える必要がありますね。
本書の面白い点が、DXがテーマの本にもかかわらず、デジタルだけでなくアナログでの効率化も大切にしている点です。
本書で繰り返し述べられているのが、「目的は仕事の効率化であって、デジタル化はあくまで手段」ということです。
すべての仕事をデジタル化しようとするのではなく、アナログを残したまま、必要な部分だけデジタル化を進めることが勧められています。
そのために、アナログとデジタル両方の良さを理解し、アナログのまま効率化したほうが良い部分と、デジタル化したほうが良い部分に切り分ける必要があります。
- デジタルの良さ
- 情報を素早く検索できる
- 資料やデータを簡単に保存・整理できる等
- アナログの良さ
- 紙の図面の場合、直接書き込める
- 持ち運びが容易など、適当に・自由に管理できる等
そのうえで、本書ではどんな業務を行っている会社でも当てはまる「絶対にデジタル化したほうが良い業務」が具体的に4項目詳細に紹介されています。ここでは公開できませんが、著者が自社で10年以上デジタル化を勧めてきた結果の結論なので、これを知れただけでも大変価値があると感じました!
基本的な仕事の効率化・デジタル化の進め方
デジタル化を成功させるには、シンプルで現場に即した進め方が重要です。本書『仕事の効率化を目指す本』で書かれている進め方はこちらのとおりです。
- 仕事の効率化・デジタル化チームを作る
- チームでどのように進めるか検討をする
- ツールの導入と浸透
- 2と3を繰り返しながら仕事を見直して改善する
複雑なことは何もなく、話し合って、仮説を立てて、実行して、改善する、この4つの工程だけです。
この流れを繰り返し実行することで、デジタル化が自然と現場に浸透し、業務の効率化が進みます。
試しながら進める柔軟なアプローチ
本書が強調しているのは、デジタル化を無理なく進めるための柔軟なアプローチです。すべてを一度に変えるのではなく、「話し合って、仮説を立てて、実行して、改善する」という4つの工程を繰り返すシンプルな手法が提案されています。
ツール選びも柔軟に行いましょう。サブスクリプション型のデジタルツールを導入することで、低コストで試行錯誤が可能です。業務に合う便利な機能だけを活用することで、無駄なく効率化が進みます。「まずはとりあえず試してみる」という姿勢が、成功への第一歩です。
アナログとデジタルを上手に組み合わせる
本書の特徴は、すべてをデジタル化するのではなく、アナログでの作業も併用することを推奨している点です。
先述の通り、アナログには、自由度の高さや紙に直接書き込める便利さがあります。一方、デジタルは検索性や共有性の高さが強みです。これらの良さを組み合わせて使うことで、業務効率化を無理なく実現できます。
また、デジタル化に対する社内の反対派への対策も紹介されています。「全員で始めない」方法を取り、賛成派から小さくスタートすることで、中立的な社員を巻き込み、徐々に範囲を広げる。この段階的なアプローチが、反対派の不安を和らげ、スムーズな進行を可能にします。
デジタル化を目的にするのではなく、効率化を目的とし、柔軟な方法で進める。本書が提案するこの方法は、現場に寄り添った実践的な手法だと感じました。まずはできることから始めてみてください!
デジタルとアナログを融合した仕事の効率化の実例
では、デジタルとアナログを融合した仕事の効率化については、どのような例があるのでしょうか。実例も書かれていましたので、本項ではその一部をご紹介します。
アナログの力を活かした効率化「リレーボックス」
たとえば、「リレーボックス」の活用は、アナログならではの効率化の一例です。リレーボックスを使うことで、資料を直接「渡しに行く」や「取りに行く」といった時間を削減できます。これにより、移動の無駄を減らし、他の業務に集中する時間を生み出すことができます。
「無駄を減らす方法はデジタルだけではない」良い例ですね。必要に応じてアナログを残しながら、適材適所で効率化を進めることが大切です。
デジタルで強化する作業環境
デジタル技術を活用して作業環境を最適化するのも重要です。本書では次のような提案がされています:
- デュアルモニター化
複数のモニターを使うことで、同時に複数の画面を操作できる環境を整える。 - モニターサイズを大きくする
視認性を高め、作業効率を向上させる。 - 速く動くPCに切り替える
作業のレスポンスを改善し、時間のロスを削減する。
これらはすべて、初期投資に対し、日々の業務効率に大きなインパクトを与える施策です。
ルールを見直して効率化
会議の時間や手間を減らすためには、「捨てる基準」や「ルールのスリム化」が有効です。本書では、必要以上に多くの人を巻き込む会議や曖昧なルールによるロスを削減し、業務に集中できる環境を整えることが提案されています。
本書では、捨てる基準の具体例や、ルールのスリム化を行う具体的な方法も解説されています。
デジタルとアナログを分けて活用する
著者の経営する会社、日本ツクリダス社の事例として「集客はデジタル、営業はアナログ」という形で役割を明確に分けることで成果を上げている例が挙げられています。デジタルツールを使って広く情報を届け、アナログで直接的な関係性を構築する。このようにデジタルとアナログの役割を分けて使うことで、効率化と成果の両立に繋げています。
デジタルだけでなくアナログも活用することで、より柔軟で無理のない形で効率化を進めることができます。本書の提案を参考に、自社の業務に合った方法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
ツール導入で失敗しないためのポイントと実践方法
デジタル化を進めるうえで、ツールの選び方と運用の工夫は非常に重要です。本書では、以下の具体的なポイントが提案されています。
デジタルツール導入のポイント
- 無料で利用開始できるものは一度導入して試してみる
- 複数のサービスを触ってみて感性に合いそうか直感的にいい感じかどうかという視点で考えてみる
- ネット上の評判を見てみる
- 無料のツールに執着しすぎない
- ツールのすべての機能を利用するのではなく、便利だと感じる機能だけ利用する
ツール選びと運用の基本
デジタルツールの導入を成功させるためには、適任の担当者を選ぶことが非常に重要です。本書では、その具体的な選び方も述べられています。
また、デジタル化の目的は「仕事をラクにすること」であり、ツール自体はその手段に過ぎません。すべての業務をデジタル化するのは現実的ではなく、アナログの良さを残しながらデジタルを併用することで、より簡単に効率化を進めることができます。
また、デジタル化を進める際には「3ヶ月は辛抱して使ってみる」という姿勢が求められると述べられています。最初は慣れないこともありますが、一定期間使い続けることで、ツールの本当の価値が見えてきます。最終的にツールを会社に定着させるためには、ツール選びの工夫と、現場に適した運用体制を整えることが鍵になりますね。
デジタルツールの紹介が大変有用!
本書の中でも価値があると強く感じたのが、第4章で公開されている、具体的なデジタルツールの紹介です!
日本ツクリダス社が10年以上社内で試行錯誤を繰り返してきた上で有用だったもののみが紹介されています。
ツールをまとめた表も掲載されており、1.コミュニケーション、2.フロントオフィス、3.バックオフィスの3表6ページにわたって掲載されています。
本来であれば、何年も社内で試行錯誤を繰り返しながらやっと辿り着く情報かと思いますので、この表だけで書籍代のもとはとれるはずです。
本記事で全て公開することはできませんが、その一部をここで掲載しておきます。
ぜひ書籍にて重点的にご覧いただくことをおすすめします。
最終章ではデジタル化の成功事例が紹介されている
最終章である第5章では、デジタル化の成功事例が惜しみなく公開されています。
ここでは公開できませんが、自社や取引先で試行錯誤の上結果が出た具体的な取り組みや、その成果が紹介されており、これを真似するだけで仕事の効率化が実現できる、大変価値ある内容になっていました。
まとめ:小さく始める「デジタル化」の成功法則
角野流DXの進め方
- 「デジタルに適した作業」と「アナログに適した作業」の違いを知る
- 今あるアナログ作業を「デジタル化できる作業」と「できない作業」に仕分けする
- 「デジタル化できる作業」にデジタルツールを導入する
- 導入したら、感触がよくても悪くても一定期間使い続けてみる
- いざ改革!デジタルツールを導入して得られたデータを分析
DXが難しいと感じるのは、上記のような流れのなかで、いきなり最終段階のステップ5ばかりがフォーカスされるからです。でも実際には、単純に、アナログとデジタルを組み合わせて仕事をラクにすることからすでにDXは始まっているのです。そう考えると、D✕って意外とかんたんで、誰にでもできそうだと思えませんか?
デジタル化を進めるうえで、本書が伝える重要なメッセージの一つが「どうか、がんばらないでください」です。
この言葉はあとがきで述べられており、デジタル化は仕事をラクにするための手段であり、決して目的ではないという一つのメッセージです。
大規模なシステム導入や複雑なデータ分析に取り組む前に、本書ではまず「小さなDX」を始めることが勧められています。これは、デジタル化を一気に推進するのではなく、アナログとデジタルの良さを融合させながら、少しずつ業務を改善していくアプローチです。
「どうか、がんばらないでください」という言葉には、仕事の効率化は無理なく進めるべきだという、長年DXに取り組まれてきた角野氏の強い思いが込められていると感じました。
本記事で公開しきれなかった部分も多いですので、中小企業の経営者様や、DX担当者様はぜひ本書を手にとってみてください。
そして本書が提案する「ちょうどいいデジタル化」を参考に、小さな一歩から始めてみてください。それが仕事を効率化する近道になり、働き方を大きく変える第一歩となるはずです。
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