
前回はねじ切りダイヤルを使ってねじを切る方法を解説しました。
今回は、実際にねじを切る際のコツを公開します!

今更ですが、ねじ切りの手順は上記の画像のとおりです。
目印は、画像ではパスを使っていますが、通常通り旋盤の目盛りで構いません。
切り込み量はどのくらい?

ねじの切り込み量には、上記のように計算で求める方法があります。
実際、職業訓練では上記の方法で切り込み量を計算して切り込み表を作り、それに沿ってねじを切りました。
しかし、現場で汎用旋盤を使う場合、そうした計算をしなくてもねじを切ることができるため、大体でやってしまいましょう。
その大体を、これから説明します。
びびるまでは切り込み0.2、びびり始めたもしくは仕上げの段階に入ったら、切込み0.1でねじを切ります。
仕上げの際は、ナットをあわせながら慎重に切り込んでいきましょう。
びびり、チップ欠損対策には、千鳥切り込みがおすすめ!

あなたはねじを(1)のように切り込んでいませんか?
それだと、長いワークや大きいピッチ、難削材のねじを切る場合に、びびりやチップの欠損に悩まされることかと思います。
切り込み回数は多くなってしまいますが、そのような場合上図の千鳥切り込み(2)がおすすめです。
やり方は簡単で、ねじを切る際に小さい方の縦送りハンドルを左右に振ってやるだけ。振り量は、切り込み量にもよりますが大体0.1で大丈夫です。
切り込んだときに、片方からだけ切り粉がでる程度に振ってやります。このときネジの谷の底が平らになっているようであれば振りすぎなので気をつけましょう。
注意点はハンドルのバックラッシュに気をつけること、それから振りすぎて、ネジの山が二重になったりネジ山の高さが低くならないようにすることです。
これだけで、びびりやチップの欠損がかなり軽減されることと思います。
さらにびびりを少なくする裏技も
千鳥切削でもまだびびる場合、芯高をあえて高くしてみましょう。
私の師匠が教えてくれた技なので理屈はわかりませんが、びびりが少なくなります。
どのくらい芯高にするかですが、ワークの径によるので一概には言えませんが、0.5〜1mmほど高くしてしまっても大丈夫です。
逃がしのないネジで、バイトを上手く止める裏技
逃がしのあるねじは比較的簡単に切れますね。
しかし、逃がしがないねじを切る場合、本当に熟練が必要で大変難しいです。
ねじが行き過ぎると刃物が欠損してしまいますし、足りなければねじの寸法が短くなってしまいます。
こんな場合、バイトの送りをを止めるのが簡単になる方法をお教えします。
それは、ねじの最終地点にねじ切りバイトであらかじめ溝を掘っておくことです。
この溝があれば、わずかですが逃がしの代わりになるためバイト引くのが簡単になります。
見た目には、ねじと同化するので溝が掘ってあることはよく見なければわかりませんので、おすすめできる方法です。
ねじ切りの切削速度

ねじ切りのハイスを使った推奨切削速度は上図の通りです。
しかし、この条件で鉄を削ると、ねじ切りに慣れていない場合難しいことがあります。
ハイスでなく超硬のバイトを使った場合、推奨切削速度はさらに上がるため、よりタイミングが難しいです。
切削速度が低すぎるとたしかにむしれが発生してしまいますが、それで上手く止められず、製品をオシャカにしてしまうのが一番まずいです。
最初は100回転ほどで正確にねじを切ることを目指し、徐々に回転数を上げていきましょう。
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