標準サイズより一回り小さいチップ
上の画像のように、コストを安くするためにサイズを小さくしたチップを使えるようにするシステムがISO・エコ・ターンです。
サイズが小さくなったぶん安くなるとはいっても、色々気になるところがでてきますよね。
切削性能は?
安くなるってどのくらい?
というのが一番気になるところかと思います。
本記事では、このチップのデメリットも含めて詳しく解説しました!
どのくらい安くなるの?
多くの加工では切削条件に対して必要以上に大きなサイズのインサートが使われていますが、この問題を解決するのがISO-EcoTurnです。インサートの体積をおよそ40%削減することにより価格をおよそ20%低減。しかも切削性能は損なわずそのまま維持しています。
タンガロイHP
こちらはタンガロイの公式HPから引用したものです。
チップを小さくしたことによって、価格は20%低減されています。
もう少し下がってくれればというのが本音のところですが、それでも20%は大きいですね。
数物に使うことでかなりの経済効果を得られそうです。
切削性能は?
肝心の切削性能はというと、切り込み量以外は標準のチップと同性能と考えて大丈夫そうです。
一つずつ以下に解説していきます。
切り込み量は3mm以内
まずは最大のデメリットから。
チップが小さくなるため、切り込み量は最大3mmです。
日常的に3mm以上切り込んで加工する方はISO・エコ・ターンは向いていませんね。
ちなみに少量多品種生産の私の勤務先では、日常的に使う切り込み量は2.5mmまで。
正直全く問題ありません。
切りくず処理性能は標準と同様
上画像のように、切りくずの処理性能は標準のものと同様です。
チップが小さくなったことによってブレーカーの形状が変わり、切り粉が切れなくなるといったトラブルについては心配なさそうです。
耐欠損性は標準と同等
ISO・エコ・ターンのチップは標準のものと同じ厚みです。
そのため、耐欠損性も同等の性能があるとのことです。
確かに厚みが同じなら、欠けやすい道理はありませんね。
インデックス精度も十分
チップ交換時の取り付け精度に関しても、カートリッジを使った場合でもX方向に1.7μm、Z方向に2.5μmと十分な精度があります。
こちらに関しては標準品と同様との書き方はされていないため多少は劣るのかもしれませんが、これほどまでの精度で取り付けられるのであれば十分すぎますね。
バイトは専用品を使っても、カートリッジを使ってもOK
バイトに関しては、ISO・エコ・ターン用のチップ取付部が小さくなったバイトが販売されています。
ですが、上画像のようなカートリッジを使えば、今使っているバイトでもISO・エコ・ターンのチップを取付可能です。
バイトのメーカーによってはクランプに支障がでてくる可能性がありますので、購入前に確認をしておきましょう。
チップ・バイトのラインナップ種類は?
倣い加工用のものから内径加工用のものまで割と多様な種類がラインナップされています。
ですが、当然ながら標準品より選択肢は狭くなります。
カタログを確認して、購入したいチップの汎用性を確かめておいたほうが良いですね。
小径内径加工では加工範囲が広がる場合も
チップの大きさが小さい分、小径の内径加工においてはむしろメリットがでることもあります。
通常の大きさのチップでは難しいφ32の内径倣い加工に対応しています。
まとめ
- ISO・エコ・ターンは標準より小さいチップを使って経済性を高めたもの
- 価格はおよそ20%安い
- 切り込み量は3mm以内
- 切り込み量以外の切削性能は標準品とほぼ同等
- 専用バイトの他、カートリッジを使えば通常のバイトも使える
- チップ、バイトのラインナップは十分あるが、標準より少ない
特に数物を扱っていて切り込み量3mm以上を使わない加工をしている場合はメリットが出そうな工具ですね。
現在使っているチップと価格を比較して、安くなりそうであれば検討の価値アリだと思います!!
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