NC旋盤で工具補正設定する方法は、画像のようなタッチセッタ(ツールセッタ、ツールアイ)を使った方法が主流です。
例えば外径バイトであれば画像のようにXプラス方向とZプラス方向のタッチセッタに当てるだけで工具補正値が自動入力されます。
ですがタッチセッタが使えない状況もありますよね。
本記事では、そんなときに使えるタッチセッタを使わない補正値入力方法を解説しました!
※私が使っている機械はオークマの機械(LB3000 EX)ですので、その他メーカーをご使用の場合は勝手が違うかと思いますのでご了承ください。
タッチセッタを使わない工具補正設定方法
X方向(外径・内径)の補正値設定方法
まずは外径・内径つまりX方向の補正値について解説します。
外径バイトの補正を例に取ると、以下のような手順になります。
- NC旋盤にワーク(端材など削って良いもの)をチャッキングする
- 補正値を設定したい工具を手で動かして外径を削り、削ったX座標を動かさずに工具を逃がす
- ノギスもしくはマイクロメーターで測定を行う
- 工具データ設定画面で、工具オフセット値Xに「演算」でワークを測った測定値を入力する
以上でX方向の補正完了です!
内径の場合は外径の代わりに内径を削り、同様に設定します。
ワークを削りたくない場合は、芯の出た内外径を測定した上でワークを回転させ、0.001mm台で工具を当てて上記4のように測定値を入力しましょう。
工具を当てることもしたくない場合は下に新聞紙を使った方法を紹介しています!
Z方向(端面)の補正値設定方法
次に端面、つまりZ方向の設定方法です。
- NC旋盤にワークをチャッキングする
- 基準バイト(工具補正値Zが0のバイト)で端面を削り、削った位置を原点に設定する
- 補正値を設定したい工具を手で0.001mmずつ動かして正確に端面に当て、そのZ位置で止めておく
- 工具データ設定画面で、工具オフセット値Zに「演算」「0」と入力する
以上がZ方向の補正設定方法です!
とはいえすでに加工中のワークがあり、そのワークを外したくないとき、さらに端面も削りたくないときもありますよね。
そんなときは、そのワークの端面(原点位置)に0.001mmずつゆっくり工具を近づけ、端面と工具の間に新聞紙をはさみます。
新聞紙の厚みは0.03mmですので、新聞紙を挟んだ工具位置で工具オフセット値Zに「演算」「0.03」と入力することで設定を行えます(端面が原点になっている場合)。
この例のように大抵は端面のZ座標が0になっているかと思いますが、そうでない場合は原点位置に合わせて入力値を変えるようにしましょう!
内外径が削れない場合も応用できる方法です!(内外径に新聞紙を使うことは滅多にありませんが)
どんなときに役に立つ?
この方法は主にタッチセッタが使えないときに役立ちます。
例えば大きいワークを掴んでいてタッチセッタが下ろせないとき。
タッチセッタにあてるためだけにワークを下ろすなんてやっていられませんよね。
それからタッチセッタに当てられないほど大きい工具を使うとき。
最近自作の内径溝入れ工具を使った加工を行ったのですが、工具が大きすぎてタッチセッタに当てるためにはストロークが足りず、上記の方法が役に立ちました。
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