汎用旋盤を長持ちさせるための、基本の日常メンテナンスを解説!

日々の仕事の中で発生する経費のうち、多くの割合を占めるものの一つが機械の設備費です。

機械費用の償却が終わってもその機械を使い続けられれば、その分は機械費用なしで利益をあげることができるため、機械を長持ちさせられることは機械加工職人として大切な能力の一つです。

今回は汎用旋盤を長く使うために行うべき日々のメンテナンスについて解説します。

摺動面の手入れ

摺動面は汎用旋盤の命で、最も大切な箇所です。摺動面が傷んで旋盤の精度が狂ってしまうとその狂いは永久に残り、実質的に直すことはできません。

なので摺動面が錆びたり摩耗したりすることの対策を行うことはメンテナンスの中でまず第一に行わなければいけない大切なことなんです。

それでは具体的なメンテナンス方法を書いていきます。

基本的には、拭いて潤滑油を塗る作業です。

摺動面は3箇所ありますね。

  • 刃物台の摺動面
  • 横送り台の摺動面
  • 縦送り台の摺動面

これらを上から順番に掃除し、油を塗っていきます。

刃物台を例にすると、まずは刃物台を一番後ろまで下げ、ウエスで摺動面をきれいに拭き掃除してやりましょう。

そしたら最後に機械油を摺動面に添付し、刃物台をもとに戻します。

このように、きれいに拭いて油を塗布する作業を全ての摺動面で行います。

この作業をすることで、切粉やゴミなど、摺動面を傷める原因になるものを取り除き、さらに油によって摩擦をなくすことができます。

送り台を動かしただけでは油が行き届かないところは素手で塗り拡げると満遍なく油を塗布することができます。

オイルニップルへの油の注入

油が必要なのは摺動面だけではありません。ハンドルの目盛りの可動部や、心押台などにオイルニップル(油のさし口)がついているかと思います。

旋盤によってついている箇所は異なるため、説明書を見て確認するようにしましょう。

週に1度くらい全箇所注油し、可動部が錆びついて動きが悪くならないようにします。

チャックのメンテナンス

チャックのグリス注入

スクロールチャックには、グリスを注入してやらないと、爪を締め付ける際などにチャックの寿命を縮めてしまいます。

爪が摺動する際に摩耗してしまい、ガタが発生して芯出なくなってしまうんですね。

ですが旋盤のグリスは回転やクーラントにより徐々に抜けていくものです。

クーラントがNC旋盤ほどはかからないため、週に1回ほどグリスを注油してやれば十分ですので、忘れずに行うようにしましょう。

チャックの清掃

三つ爪と四つ爪のチャックに共通することですが、旋盤を扱っていると切粉がチャックの摺動部に入り込んでしまい、チャックハンドルが若干硬くなってしまうことがあります。

そのまま無理にチャックハンドルを動かすと、前項での説明と同様にチャックの摺動部が傷んでしまい、芯が出なくなる原因になります

なのでチャックに切粉が入っていると感じたときは一度全ての爪を抜き、チャックハンドルを回しながらエアーでチャックの可動部を直接清掃してやりましょう。

定期的に清掃するとなお良いです。

清掃後はグリスが多少飛んでしまいますので、グリスを入れることを忘れないようにしましょう。

クーラントの継ぎ足し

汎用旋盤のクーラントは、NC旋盤を使っているようでしたらそれと同じもので構いません。

汎用旋盤のクーラントタンクは大変小さいので、機械が錆びないように濃い目にクーラントを入れておきましょう

また、旋盤のメーカーにもよるかとは思いますがクーラントタンクには切粉が結構入ってしまいます。さらにタッピングペーストや機械油も混入しますので、半年に一度くらいはクーラントを抜いて掃除した方が良いです。

クーラントタンクの掃除はそこそこ時間がかかるのでなかなか腰が重いですけどね(汗

油のチェック

旋盤の油には2種類あります。

それは①摺動面に自動注入されるエプロンの油と②ギヤオイル。

ギヤオイルの方は1年毎に交換してやればよいです。

ですがエプロンの方は、旋盤を使っているとどんどん減っていきます。摺動面だけでなく、エプロン内部や親ネジなどシャフト類にも注油される機構になっていますので、必ず一日の初めにオイル点検窓を見て、必要量オイルが入っているか確認し、減っているようであれば継ぎ足すようにしましょう。

本記事で説明したのは基本的なことのみ

基本的なことは本記事で書いたことを日常的に行っておけばOKです。

ですが旋盤をはじめ、工作機械を30年以上長く使っていこうと思うと思わぬところに不具合がでてくるものです。

意外と機械のメンテナンスは奥が深いので、あくまで本記事は基本的ところだけの解説ということをご理解ください。

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