NC旋盤を扱っていて、一番身近で怖いミスが機械をぶつけてしまうことですよね。
今回は私が作ったプログラムを初めに動かす際に毎日行っている方法を紹介します!
オークマのNC旋盤を前提に解説していますが、制御装置がファナックの機械でも早送り速度調節ダイヤルと切削送り速度調節ダイヤルが別れていることを除けばやり方は同じですので、参考になるかと思います。
機械を動かす前に・・・
プログラムをチェックし、原点設定を行なう。ここが間違っていなければ極論ぶつかりません。
もしプログラムのチェックをきちんと行っていなければ、いまいちどプログラムのチェックを行いましょう。
これだけでミスを大きく減らすことができます。
原点設定もはじめは忘れがちなので、間違いなく行なうようにしましょう。
はじめはゆーーーっくり動かしてワークの5mmくらい手前で止める
段取りが完了したら、実際に工具を動かしていきます。
いくら入念に設定やプログラムなどをチェックしていても、見落とすときは見落とします。
なので見落としていてもぶつからないように動かすことが大切です。
そのためのコツは、ぶつかりそうなときに機械を止めて簡易的にチェックすること。
具体的な方法を解説します。
例えばアプローチ点がX50Z2で外径を削る場合、原点設定がうまく行っていれば、端面から2mmプラス方向にいったところで工具が止まるはずですよね。
ですがぶつかる危険性を考えて、大体端面から5mmくらいのところで一度止めましょう。
送り速度調節ダイヤルを最小の数字にしてゆ〜っくりアプローチしてやり、5mmくらいのところでダイヤルを0にします。
ゆ〜っくりアプローチすることが、機械を思ったところで止めるポイントです。
設定した原点と工具刃先の間の距離をスケールで測る
そして、止めたらスケールを使って工具とワーク端面の間の距離を測ります。
このとき原点とワーク端面が別の場合は、大体でいいので原点の位置と工具の間の距離を測りましょう。
たとえばこれが6mmだったとします。
工具の現在位置を確認し、測定値とほぼ差がないことを確認する
次はNC旋盤のディスプレイで、工具の現在位置を確認します。
その現在位置がZ6.08といった具合に、先程スケールで測った測定値とほぼ相違がなければOKです。
ですがこれがZ21.5といった具合に測定値より大きい値だったら・・・・このまま動かすとぶつかります。
ですが、この時点で一度停止させ、原点設定や工具オフセット、プログラムが間違っているため直してリトライすれば大丈夫です!
これでアプローチは完了。削りに入っていきます。
削りでぶつけないために
慣れないうちはシングルブロックをかけて
アプローチを測ってOKであれば、慣れていないうちはシングルブロックをかけて荒加工を行います。
削り中に気を付けなければならないのは、爪やチャックに工具が干渉すること。
シングルブロックをかけて、切削送りダイヤルを0にした状態で起動ボタンを何回か押し、”残り距離”の欄を確認します。
例えばZの残り距離が50であれば、現在工具がある場所からZ方向にー50mmいったところまで工具が動くことになるので、工具刃先からー50mmのところがチャックに干渉しないかどうかをスケールで確認してやります。
ですがこれだけでは安心できません。呼び出している工具だけでなく、突き出しの長い工具がNC旋盤の壁にぶつかったり、隣の工具がチャックにぶつかったりということも初心者だとありがちなことです。
そのようなぶつかりそうな箇所があれば、同じようにぶつからないかどうかスケールでチェックするようにしましょう。
これで干渉しないと分かれば安心して加工を始められます。
慣れてきたら加工中にぶつかる直前で止められるようにする
私は現在は、今から説明するやり方で加工を行っています。
普通に切削送り速度100%で加工し、荒加工の1パス目で爪にぶつからないかどうかをしっかり目で見ながら加工します。 シングルブロックはかけません。
そしていつでも停止できるように停止ボタンに指を置いておき、ぶつかる直前で停止ボタンを押せるように準備しておきます。
大抵はミスがないので止めることはありませんが、ミスがあった場合もぶつかる直前で止めるため、ぶつかることはありません。
加工の速さも落とさずに安全に加工できる方法なので、先ほど説明したシングルブロックの方法で慣れた後、安全に止められるようになったらこちらの方法をおすすめします。
もちろん私でも要所要所は停止ボタンを押し、残り距離を確認してスケールで測定することもあるため、あくまでぶつけないことを最優先にして正確に作業を行うことがコツです!
これを繰り返す
工程ごとにこの作業を行って、チェックしながら加工していきます。
始めのアプローチで原点設定の間違いがないことはわかると思いますが、工具のオフセットやプログラムにミスがあると、はじめの工程がOKでもぶつかってしまうことは十分あり得ます。
この作業を工程ごとに繰り返すのは時間がかかって大変・・・と感じるかもしれませんが、慣れればどんどん速くなっていき、半年も続ければほぼタイムラグなしで動かすことができるようになると思います。
NC旋盤オペレータは慣れが勝負の世界。
慣れてくれば、難しいもの以外は考えなくても体が勝手に製品を作ってくれるような感覚になります。
そこまでいけばストレスフリーな仕事だと思うので、身に着ける価値も十分にありますよ!
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