【旋盤・フライス】切削機械加工に向いている人向いていない人

仕事は気合だ!頑張れば誰でもできるようになる!というのは空想だと私は考えています。

誰しもに仕事の向き不向きはあります

私も前職は全く畑違いの仕事をしていましたが、本当に向いていなかったと思います^^;

汎用旋盤・NC旋盤・汎用フライス・マシニングセンタ等の切削機械加工にはどんな人が向いているのか、またどんな人は不向きなのか、現職の私が解説します。

(私の勤務先は単品もの屋ですので、数物屋さんの見解とは違うかもしれません。その前提で読んでみてください。)

機械加工に向いている人

機械が好きな人

機械加工はその名の通り機械を使って加工を行います。

機械好きだと旋盤の構造を進んで勉強したり、機械をメンテナンスすることも苦にならないため、機械を大切に扱うことができる傾向にあります。

また、旋盤やマシニングは機械の部品を作るものです。

機械が好きな方は、経験に応じて”この製品はどんな機械になるのか”を自然に想像しながら仕事ができるので、機転が利きます。

業務上も、この製品のこの公差はなんのために入っているのか、このはめあいは重要なのか、この製品は円周振れに気を使ったほうがいいのかといったようなことを想像しながら加工することで、図面指示以外にもお客さんのニーズを汲み取って加工することができます

逆に、難しい箇所に公差がはいっており、なおかつその公差を入れる必要がないと感じた時、お客さんに妥協点を相談することができたりもします。

そして何より機械好きの人にとって機械に囲まれて仕事ができること自体が楽しいことなので、そういう人は特に長く続けられるでしょう。

仕事は何事も楽しくやりがいを持ってできるのが一番だと思います!

完璧主義な人

切削加工は除去加工なので、削った箇所をもとに戻すことは基本的にはできません。

他の部分は完璧でも一箇所の公差を外しただけでオシャカになってしまいます。

なので頑張った製品の最終工程でミスしたときの落胆は相当なものですが、その分完璧に成功させたときの達成感はひとしおです。

完璧に図面通りの製品を求められる仕事なので、完璧なものを作ることに喜びを感じる完璧主義タイプの方は向いていると思います

理論派の人

加工屋の製品は現物が全てです。図面通りならマル、図面と違うならバツ。

図面と違う製品であれば、いかに口が達者でプレゼン能力があっても不良は不良です。

他の多くの仕事では、商品そのものが完璧でなくてもその製品やサービスの良さをプレゼンすることで価値を与えていくというやり方があると思いますが、加工職人にはそれがありません。

その分、とにかく図面通りに仕上げることが求められます。

どうやったら図面通りにできるのか考えられる、どちらかというと論理的な思考の持ち主の方が向いていると思います。

論理的な発想力も大事です。

一見クランプできなさそうなワークでも、治具を作る発想力で解決できることが多々あるためです。

こういった力は経験で身についていきますが、そういった発想をするのが好きな人は向いているでしょう。

自分オリジナルの解決方法での加工がうまくいったときには、なんともいえない興奮・快感がありますよ!!

機械加工に不向きな人

数字や図形が特別苦手な人

私の会社に本当に数字が苦手な後輩が入社したことがありますが、3ヶ月の試用期間で退職してしまいました

彼は小数の足し算引き算、測定器の目盛りを読むこと、図形を立体として想像することが極端に苦手でした。

3ヶ月やってもマイクロメーターの目盛りは読めませんでしたし、ブロックゲージでの測定もできませんでした。

そのように、小学生レベルの算数能力に自信がない人は向いていないと言えます。(ただもちろん、だからといって彼が他の仕事も向いていないとは思いません。)

【ダメな新人】3ヶ月経っても測定器の目盛りが読めない新人・・・どうしたら!?
以前こちらの記事をtwitterで投稿しました。 すると、「できない社員に困らされている・・・」という反応が多く、またtwitter内でも向いていない後輩・社員の愚痴をよく見かけます。 私も明らかに機械加工に向いていない後輩を指導した経験が

経営者さんは小さい町工場であっても、採用の際は面接だけでなく、簡単な計算の試験はしておいたほうが良いと思います。

逆に、中学生以上の数学能力はあるにこしたことはありませんが、必ずしも必要ではありません。

なぜこうなるのか、理由を考えられない人

工具が欠損した、ワークがチャックやバイスから外れてしまった、原点設定が間違っていた、など特に初めの方はトラブルがつきものです。

その結果には必ず原因があります。その原因を考えるのを無視して作業をするようなタイプの方は向いていないといえます

自分の仕事を、何をやっているかわからないままやってしまうタイプですね。

特にこの仕事は、わけもわからず作業を行うと大きい危険が伴います

・・という私も前職(インフラ系技術事務職)ではほぼ何をやっているかわからないまま仕事をしていましたが・・・笑

結局はその仕事に対するやる気が一番大切なのかもしれません。

近くを見るのが苦手な人

旋盤・マシニングを使うにあたって、原点設定の際や、バリ取りなど、細かいところを見ることが多いです。

私は普段NC旋盤・汎用旋盤を使っており、時には誤差0.005mm以内の繊細な端面当てが必要になることもあります。

そんなときに視界がぼやけていると、はっきり言ってまともな仕事ができません

最近引退した私の勤務先の会長は、67歳ですが老眼で近くを見るのに苦労している様子でした。

会長は目が見えなくなってきてから外観キズも多くなりましたし、不良も増えました。

会長は私の師匠といえる存在で、大変素晴らしい技術を持っている方でしたので、全盛期のように加工できないことが本当に悔しかったと思います。

少し話はそれましたが、遠視の方など近くを見るのが苦手な人は向いていないといえるでしょう

もちろん、メガネをつかってはっきり見えるようでしたらOKです。

汚れるのが嫌いな人

機械を扱っていると、切り粉がとんできたり、クーラントがとんできたり、掃除の際に油で汚れたり。なかなか常に綺麗にというわけにはいきません。

そこまでドロドロになるということはありませんが、金属や油を触るのが嫌いな人や、仕事で汚れたくない人は向いていないと思います

金属アレルギー・油アレルギーの人

コレに関しては、説明の必要はありませんね。

機械加工をするにおいて、金属・油に触らない日はありませんので、アレルギーを持っている人は厳しいと思います^^;

手先が特別不器用な人

旋盤・フライス屋は職人仕事なので、手仕上げなどをする機会も多くあります。また、汎用旋盤も使う場合は、細かい目盛りを入れる必要があり、手先が器用であることにこしたことはありません。

最も手先の器用さが大切なのはリューターを扱うときです。細かい箇所の面取りは慣れていても難しい場合があります。

とはいっても、人と比べて異常に不器用すぎるというレベルでなければ、練習でなんとかなりますので、問題ありません

箸が普通に使えるレベルであればOKです。

いちばん大切なこと

冒頭にはあんなことを言いましたが、一番大切なことは、好きやりたいという気持ちだと思います笑

向いていなくても、頑張り続けられるだけの気持ちがあれば大抵のことは結果がついてきます。

頑張る→できる→認められる→嬉しいから頑張る→もっとできる→認められる→・・・

という正のループに乗ってしまえば、あとはひたすら経験を積むのみです。

とはいえ、好きな仕事を見つけること自体やってみないと分からないところがあって難しい・・・。

はじめは好きでもなんでもない仕事でも、できた認められて、好きに転じるパターンもあります。 そのために、自分の向き不向きをこの記事で理解してもらえれば嬉しいです。

仕事選びって本当に難しいですからね。

【ツイッターで聞いた】加工技術者の向き不向き

せっかちな性格の人は旋盤に向いている

熟練汎用旋盤工さんに聞いたということで、とても興味深いツイートです。

旋盤に限った話にはなってしまいますが、”せっかちな人は向いている”ということでした。

確かに私もそのとおりだと思います。

その理由に関してはツイートで書かれている見解と私も同意見で、旋盤はフライス等と比べてサイクルタイムが短いため、段取りや測定など人が動く時間の割合が多く、速く手を動かせる人とそうでない人の差が開きやすいということだと思います。

常に最速を追い続ける。スピードは利益です。熟練職人のスピード意識の高さが垣間見えるツイートでした。

お客さんの満足に責任を持てない人は向いていない

言われた図面通りの物を作ったのだからその物に不具合があろうと自分に責任はない、といつまでも考えてる人は向かないかな

「やれと言われたことはちゃんとやったんだから、お客さんが満足できなくても知らんよ。」

そんな人は向いていない、という意見です。

言い方を変えると、この方は「自分の仕事は図面を形にすることだけじゃない。お客さんを満足させることだ」と言っていると解釈できます。

このような姿勢は加工の仕事だけでなく、どんな仕事でも大切なことだと思います。

職人は技術の高さだけでなく、仕事に対する姿勢があって初めて一流になれる

とても良い刺激を受けたツイートでした。

【番外編】錆び手の人は向いていない!?

錆び手とは、金属を触るとすぐに錆びさせてしまう特殊な手を持った人のことです(笑

要するに汗っかきなんだと思います。 汗の塩分と水分で製品が錆びてしまうんですね。

ですが、熟練旋盤工である私の師匠も錆び手でした。

軍手を使って製品を触ったり、防錆剤を吹きかけたりすれば大丈夫です。

決して錆び手だからといってこの仕事に向いていないということはありませんので安心してください!

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