大体2年ほど前、私の勤務先で簡易放電加工機「おれと〜る」を導入しました。
折れたタップを抜いてくれるやつです。
これがかなり便利で、今でも割と頻繁に活躍しています。
本記事ではおれと〜るを、実際に使った感想を交えながら紹介していきます!
おれと〜るって何?
まずはおれと〜るが何なのかを説明していきます。
簡易放電加工機
放電加工とは、電極とワークの間で電気による微小な火花を発生させ、その熱でワークを溶かして削っていく加工方法です。
その性質上、どんなに硬い金属でも電気さえ通れば加工できてしまいます。
たから折れたタップにも穴を開けられるんです。
折れたタップに穴を開けて除去する
タップを除去する仕組みは簡単で、折れたタップに穴を開け、ねじ山に残った画像のようなタップのかけらを除去するだけです。
使った感想
この機械、タップ径にもよりますが20分くらいあればタップを除去できますので、大変便利に活用しています!!
今では仕事に欠かせないと言っていいくらいの機械です。
これまでは放電を外注してタップを抜いてもらっていましたのでタップ加工は必要以上に慎重になっていました。ですがおれと〜るが入ってからは「折れても抜けばいい」という感覚で攻めたタップ加工ができるようになり、仕事の効率も上がったと思います。
タップ抜きの仕事もできるようになったこともあり、予算さえ許せばおすすめできる機械です!!
おれと〜るの使い方
では、おれと〜るの大体の使い方を説明していきます。 ちなみにおれと〜るは普通のコンセントから電気をとれるのでどこでも使えます!
ワークを固定して真鍮棒をセット
まずタップが折れたワークを固定し、タップサイズに合った真鍮棒(電極)を取り付けます。
ワークの固定は基本的に小さいバイスを使っています。
大きめのワークだと、そのワークに合わせて工夫して固定しています。
電極クリップをワークなどに取り付ける
電気が流れるように、電極クリップをワークなどにはさみます。
私の場合は基本的にバイスの方に電極クリップを挟んでいます。
チタンの場合は火花が散ってワークが溶けてしまうことがあります。
必ず火花が散っても大丈夫なように養生しておきましょう!
チタンはタップが折れやすい上、材料が高価なのでのでおれとーるを使う機会も多いと思います。注意しましょう!
水をかけながら放電加工
放電加工は必ず水中で行わなければいけません。
私の場合はいつも流し台にワークとおれとーるをセットし、蛇口から直接水をかけながら加工しています。
他にも加工範囲をパテで囲ってその中に水を貯めて加工する方法や、水にワークを沈めて加工する方法があります。
準備ができたら深さをセットして加工スタートです。
電極も減りながらの加工になるので、タップ深さよりも深めにセットしておきましょう。
残ったタップを除去
あとはケガキ針で残ったタップを除去し、作業完了です。
タップのかけらが残っていると、タップを立て直す際に新しいタップを傷めてしまいますので注意しましょう。
おれと〜るのデメリット
価格が高い
その価格なんと58万円!?
簡易式とはいえ放電加工機。見た目とは裏腹にやはり高額ですね・・・。
ネーミングセンスが・・・
おれと〜るという名前が安っぽく感じるのは私だけでしょうか。
また伸ばし棒が「ー」ではなく「〜」のところがなんともいえませんね。
タップリムーバーとか、普通の名前のほうがまだ58万円払う抵抗感は少なかったと思います・・・。
おれと〜るのメリット
タップ折れのせいで納期に遅れることがなくなる
私の勤務先ではタップが折れた際、おれと〜るを導入する前は放電を外注してタップを除去してもらっていました。
外注した製品を待たなければいけないため、納期に遅れそうになったり、段取り替えの余計な手間が発生してしまっていました。
この点を解決できたというのは大きいポイントです。
条件を上げる等、攻めた加工ができる
タップ折損のリスクが下がったため、わずかに折れる可能性がある深さや条件のタップ加工にも挑戦できるようになりました。
結果的にサイクルタイムや工程の短縮ができ、速く加工ができるようになりました。
外注しにくいワークのタップ除去も可能
画像のように運搬が困難だったり、外注先の放電加工機に載せられなかったりする大きいワークや入り組んだ箇所のタップ除去が可能になりました。
小型の簡易放電加工機だからこそできる加工で、おれと〜るの優れているポイントの一つです。
折れタップ除去の仕事が入ってくるようになった
めったにありませんが、タップ除去のみの仕事が入ってくるようになりました。
タップ除去という役割しかない割には高額な機械なので、持っていない工場も多いです。
ほんの少しですが、利益を産める機械の一つです。
長い目で見ると購入した金額分のもとがとれる
確かにおれと〜るは高額で、タップ除去の外注費だけを考えると元をとるのにかなり時間がかかってしまうかもしれません。
ですが、外注先にもっていく時間、外注を待つ間のタイムロスぶん、納期に間に合わせることによるお客様の信用、これらを総合的に考えると、数年でもとが取れるのではないかと思っています。
結局買うべき?買わないべき?
買うべきです。
マシニングセンタを使って仕事をしている会社には1台はあったほうが良いと思います。
何より仕事をする上でのストレスが大きく減ることは間違いないのでおすすめです!
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